“ポスト安倍”の鍵を握るのは野党!? 「玉木代表が最も良いポジションにいる」政治ジャーナリスト座談会
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 全国一斉休校要請や大規模イベントの自粛要請など、新型コロナウイルスに対し様々な対策を講じてきた政府与党。23日に明らかになったANNの世論調査では、安倍内閣を「支持する」が39.8%と、2カ月連続で40%を下回った。

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 他方、「支持しない」も「支持する」に近い38.6%に達しているが、政党支持率でみると自民党43.5%・公明党4.7%に対し共産党3.5%、日本維新の会2.6%、社民党0.9%、立憲民主党8.1%、国民民主党1.1% 、れいわ新選組1.2%、NHKから国民を守る党0.1%と、野党への支持は今ひとつ低調なようだ。野党はいま、何を目指すべきなのか。

 そこで23日のAbemaTV『AbemaPrime』では、政治ジャーナリストの石橋文登氏、安積明子氏、細川隆三氏を招き、話を聞いた。

■追及の仕方に問題アリ?

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カンニング竹山:全員そうだとは言わないが、野党が揚げ足を取るように文句を言っているのが、国民には全然響いていない。むしろ僕は、今の野党は安倍政権に倒れて欲しくないんじゃないか、安倍政権があるからこそ自分の仕事があると思っているんじゃないかとさえ思ってしまっている。そして、本当は自分のところに政権が来たらどうしようと思ってるんじゃないか、と。

石橋:今、特に欧米の感染拡大がすごいから、国民の間に“日本はよく抑えている。コロナ対策がうまくいっているではないか”との思いがあるのだろう。ただ、野党の“敵失”も大きいと思う。つまり、初期段階の安倍政権の新型コロナウイルス対策は決して評価できるものではなく、突っ込みどころが満載だった。それなのに野党は『桜を見る会』の問題ばかりやっていた。本来であれば自分たちの政党支持率を上げ、内閣支持率を下げるチャンスだった。むしろ保守派の方が“安倍政権の危機管理はなっていない”と怒りだしたので、安倍さんが慌てて前面に出てやり始めた。

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安積:おっしゃる通りで、コロナの問題が日本に上陸しそうだという時期に野党は危機感を持っておらず、存在感を示すようなことも言わなかった。また、2月の段階で消費税増税の影響によってGDPがマイナスになった。そこで“安倍政権ではダメだ。国民の生活に良い影響を与えていない”とアピールするチャンスだったのに、それもみすみすと逃した。そこが大きいのではないか。

細川:本来、安倍政権の支持率はもっと下がってもおかしくないが、横ばいというか、むしろ上がっている。一方で野党の支持率は伸びていない。“野党は何をやっているのか”と思っている国民が結構いるということだ。

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竹山:野党の議員がTwitterにいっぱい書き込んでいるが、お笑い的な言い方をすれば、“表で言わないでインターネットでばっかり言ってんじゃねーよ”と(笑)。

一斉休校についても、有名な議員が強い言葉でワーッと言っていた。はっきり言えば蓮舫さんのことだ。僕はあれを見てガッカリした。旗を立てられるような存在だったのに、全然分かっていないと。子育てのことは分かるけど、そんな風に語気を強めて言うもんじゃない、ダメだなと思った。メディアの使い方が下手だ。ここ数年、そこで感情論を言っちゃうと人はついて来ないのに、そこに気付かないと。

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細川:全く同感。特に新型コロナウイルスに関しては批判だけをしていればいいわけではないこんなことになるのは初めてなのだから、安倍政権のやっていることに対して提案するのはいい。それなのに、誰とは言わないが、ギャンギャン言っているだけだ。

竹山:福島瑞穂さんもそうだが、テレビに出ても話が長い。長いから聞かなくなる。そこが下手だ。

石橋:福島さんもそうだが、福山哲郎さんが予算委員会で“秘書官は大臣にメモを渡すな。大臣はメモを読むな”とえらく怒っていたが、自分だって『週刊文春』のコピーを読みながら質問をしている。疑惑追及は野党の最も重要な仕事だが、自分たちでは調査せず、“週刊誌に新事実が出た、本当ですか、再調査せよ”と。そればっかりだ。だから疑惑追及についても野党は注目されない。

竹山:あれもすごく情けない。がっかりした。今回の『週刊文春』の問題は大事なこと。野党はちゃんとしないと。

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安積:野党合同ヒアリングは私たちフリーランスにもオープンだし、ものすごく参考になるので評価している。ただ、やり方にはかねてから疑問がある。すなわち、単なる事実の追及ではなく“官僚の吊るし上げ”になってしまっていて、そこでいかに目立つか、いかに官僚に強い姿勢を示している絵面が見せられるか、ということが先にあるような感じがする。森友問題も、手記が出てきた以上は改めて事実の解明をすべきだだと思う。しかし、もう少し客観的にやらないといけないと思うし、今のような追及の仕方では、亡くなった方が気の毒だ。

箕輪厚介(幻冬舎・編集者):Twitterのバカなユーザーと同じで、脊髄反射的に何かカウンターパンチをすればバズるんじゃないかという発想だ。自分たちの主張を本気で実現させようとはしていないのではないか思えて、信用できない。与党と野党がボケとツッコミのように共依存になっていて、茶番だ。与党も弱い野党だからガス抜きになるし、野党も政権が取れないことを知っていながらちょっかいを出しているような感じで、くだらない。

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池澤あやか(タレント):私は野党が政党政治を分かっているのか疑問だ。政党が団結しないと、通るものも通らないのに。

■看板政策、国会論戦、人事で存在感を示せ

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竹山:僕は与党に入れると決めているわけではない。メディアの使い方もうまくて、根性もあって、旗を掲げられるような、政治生命をかけられるような野党の人材を待っているところもある。そういう素晴らしい政治家が出てくれば、野党に票を入れると思う。そういう人材は一人もいないのか。

石橋:極端ではあるが、山本太郎さんが『文藝春秋』の巻頭を飾るなんてちょっと前では考えられないようなことだった。皆がそういう人を待っているという面はあると思う。

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安積氏:ただ、今の山本さんは議席を持っていらっしゃらない。やはりすぐに名前が頭に浮かんで来ないという意味では、野党は人材不足だと思う。たしかに与党に比べ、政策能力の高い方も多いが、そこがいまいち国民に伝わらない。つまり、“自分は能力がある。当選させてくれ”が先にあって、国民に対して何ができるのかがアピールできてない。そこも野党が伸びない原因なのではないか。

やはり“反権力”だけではなく、国民のために何をなすべきなのかを考えるべきだ。内容によって与党を批判し、賛成もするという是々非々の立場にならないといけない。その意味では、与党よりも頭を使わないといけない。

細川:れいわ新選組よりも支持率は低いが、国民民主党には優秀な人材はいっぱいいる。しかし活かしきれていない。だから玉木雄一郎さんにはもっと頑張って欲しい。

安積:私も玉木さんはすごくいいポジションにいると思う。自民党だったら宏池会にいるような、党内の中道リベラルみたいな勢力を体現しているという見方もできる。先日の党首会談でも、安倍総理や菅官房長官が玉木さんの提唱する景気対策を聞いていた。ちょっと褒め過ぎかもしれないが、政権を取っても良いような資質を持った人だと思う。うまくいけば、安倍さんの政権が終わった後、自民党を割った勢力や自民党の一部の勢力と連携して、新しい勢力になる可能性もあると思う。

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石橋:やはり、最大の目標は政権交代だ。“看板政策を明確化せよ”と言いたい。あまりウケが良くないのではっきりとは言わないが、立憲民主党と共産党は昔の非武装中立のような流れで組んでいるところがある。しかし中国の軍拡が進む中で、国民民主党は旧民社党みたいな立場から、現実的な安全保障政策を打ち出せる立場にある。

実現できたかどうかは別にして、民主党が政権を取れた要因は、最低保障年金や子ども手当など、いろんな政策を出して、私たちなら自民党の閉塞感を打破できると訴えることができたから。そして、金融破綻が相次いだ時に、これは危機だからと、民主党が率先して与党に協力し、政権担当能力があるじゃないか、というところ見せてくれたからだ。だからこそ、国民民主党はチャンスだと思っている。端的に言えば、自民党と公明党が有権者の4割を押さえ、共産と立民で10。残り50が無党派層で、そのうちの3分の2は選挙に行かないので、残りの15くらいを玉木さんががっちり掴んだら、自民党が崩れる。

先程も言ったとおり、消費税減税や新型コロナウイルス対策に対して、百田尚樹さんら安倍総理のコアな保守層が“危機管理能力がない”と怒り出したからこそ、慌てて対策を強化した。そして“ポスト安倍”の候補たちは“帯に短し、襷に長し”なのでで、党内は今後どんどん統制を失っていくと思う自民党はこれまで佐藤栄作政権、中曽根康弘政権、小泉純一郎政権と、長期政権の後は必ず混迷してきた。今回も、場合によっては石破茂さんが党を出ていくようなこともあるかもしれない。そこで玉木さんがしっかりと政策を打ち出せば、5年後くらいには政権が転がり込むチャンスが来るかもしれない。にも関わらず、なぜ共産党も入れた野党共闘をしようとするのか。一番いいポジションにいるのに、何をしてんのかなと。選挙が怖いなら議員やめろよとも思う。

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細川:ただ、国民民主党の一番目の公約は何かと聞かれたら、プロの僕でも言えない。立憲民主党と一緒になるとかならないとかずっとやっているが、一緒になる必要なんかない。それ以上に、やはり日頃の国会論戦が大事だ。2009年に鳩山さんが政権を取った時には、野党にスターがいっぱいいた。菅直人さん、野田佳彦さん、前原誠司さん、玄葉光一郎さん、馬淵澄夫さん、長妻昭さん、岡田克也さん、蓮舫さんも。彼らの質問によって、時の政権が答弁で立ち往生するという場面が何度もあった。国民がそれを見て、“では任せてみるか”となった可能性もある。まさに、国会論戦の積み重ねだ。森友・加計問題、桜を見る会の問題をやるなとは言わないが、今は新型コロナウイルス対策の話や、内外諸情勢などの質疑もすべきだ。

その意味で、“政権を奪おう”という迫力が今の野党にはない。去年も、ダブル選挙だなんだと言っていた時、菅官房長官に“内閣不信任案を出したら解散の大義になる”と言われた途端に腰が引けた。選挙をやらない限り議席は増えないのだし、選挙を怖がっていたらいつまでたっても野党のままだ。総理の専権事項である解散は“伝家の宝刀”だと言われるが、内閣不信任案はそれに対抗する“天下の剣”だ。例え否決されても、それを出さないとダメだ。

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石橋:選挙をさせないために、安倍さんをネチネチいじめて支持率を下げ、選挙を封じたら良いと考えているのかもしれないが、それは違う。追い込んで、解散までもっていくのが野党だ。

石戸諭(ノンフィクションライター):政権構想を打ち出せていないというところに集約されるのではないか。もちろん政策は大事だが、有権者はそれだけで判断するわけではない。政策を実行するための責任感と迫力は、人事で示すもの。自分が首相なら、どういう組閣をするのか。誰を官房長官にして、誰を法務大臣にして…と打ち出して、“どうですか、安倍内閣よりいいでしょう?”と。それは山本太郎氏も同じだと思う。

竹山:ネチネチ言い続けるやり方に国民は嫌気がさしているから、やればやるほどマイナスになる。最近の国会で一番どうでもいいと思ったのは、ヤジ論争。あんなのどうでもいい。野党には頑張って欲しい。国民を見て欲しい。国民は頑張る野党を応援すると思う。

司会進行・平石直之アナウンサー:玉木さん、蓮舫さんなど、いろんな方のお名前出ましたが、与党・野党とわず、皆さんのお話を伺いながら、スタジオでぜひ生で議論したい。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:竹山・箕輪が厳しく批判「メディアの使い方が下手」批判・追及ばかりで茶番劇のよう?

「メディアの使い方が下手」批判・追及ばかりで茶番劇のよう?
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