ファイナルへ向けて、絶対に必要なトップを取った。Mリーグ2019 朝日新聞セミファイナルシリーズ・3月29日の第1試合で、TEAM雷電・黒沢咲(連盟)がオーラスに逆転トップを決め、セミファイナル2勝目を獲得した。
この対局は起家から黒沢、U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)、KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)の並びでスタート。
黒沢は東1局に先制のアガリを決めるも、その後は一進一退の展開。大きなアガリはなかなか生まれない中で、黒沢はトップを目指し安い手組は避け、不満なテンパイは外し、“セレブ”たる堂々とした打ち筋でファンを沸かせていた。
黒沢にチャンス手が訪れたのは南3局の親番。配牌イーシャンテンから2巡目にリーチをかけると、同じくチャンス手を得ていた内川から、リーチ・平和・タンヤオの5800点をアガる。
そしてドラマが訪れたのはオーラス。黒沢はトップ目の小林をマクるために「満貫直撃or跳満ツモ」を目指す。先制リーチは小林、ドラの北を暗刻にして、トップ目だが当然のリーチで勝負をかけにきた。黒沢は四・七万待ちでテンパイ、小考ののち意を決しリーチ宣言。
待ち牌の数はこの時点で3枚ずつ。決着は早々に訪れた。9巡目、小林が一盃口となる高目の七万を掴み、黒沢に軍配が上がった。
今期ここまで、オーラス逆転でのトップを度々取るという、見る者を沸かせるドラマの立役者となってきた黒沢。ファイナル進出を懸けたこの土壇場で、ラス親かつトップ目がライバルチームのエース小林という、非常に難しい状況、そして条件の中で、見事にまくってトップを獲得した。
インタビューでは共に戦うチームメイトへ思いをはせ、「萩原さん、瀬戸熊さんがトップを取ってくれたので、私が(この流れを)切るわけにはいかない」との思いで、「満貫直撃or跳満ツモ」のオーラスも懸命にトップ狙いに努めた心境を振り返った。
また、この日の試合前は、お腹に子どもがいるためか、いつも以上に「お腹が空く」ため「トンカツにエビフライもつけて」、ボリューム満点、そして「アガリ(揚がり)」づくしの食事で、心身ともに満たした中で試合に臨んでいたことを語った。このエピソードにファンは「2人分食べて!」「トンカツ差し入れますよ」と沸き立った。
インタビュー最後には、新型コロナウイルスの影響により世の中が落ち込んでいる中で、「麻雀で少しでも勇気づけることができれば」と、ファンへ向けて麻雀プロとしてできることをしたいという、“セレブ”黒沢らしく慈愛に満ちた表情でメッセージを送った。
この日の解説を務めていた鈴木たろう(協会)は、この黒沢の勝利を見て「手作りがうまいですよね、シビれるほど面白かった」と黒沢の打ち筋に高い評価を付けていた。
【1回戦結果】
1着 TEAM雷電・黒沢咲(連盟)3万4000点/+54.0
2着 U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)3万1400点/+11.4
3着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)3万1100点/▲8.9
4着 KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)3500点/▲56.5
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)