大手キャリア3社が、今週から一斉にスタートさせた5G。ところがスマホ世代、デジタルネイティブ世代と呼ばれる若者たちも、具体的に何が変わるのか、何ができるのか、あまり知られていない様子だ。そこで26日のAbemaTV『AbemaPrime』では、改めて5Gについて学んだ。
5Gの最大の特徴とされているのが「超高速」「低遅延」「多数同時接続」だ。一つ目の「超高速」について、ITジャーナリストの三上洋氏は「例えば1.8GBの容量があるゲームアプリを4G回線と5G回線で同時にダウンロードしてみると、4Gが31%の時点で5Gでは既に完了する」と話す。こうした強みを活かせば、通信容量の必要なライブやスポーツ中継などの動画配信サービスにおいて、複数のカメラ映像を同時に受信、好きな映像に切り替えていくマルチアングル視聴も可能になる。
2つ目の「低遅延」について三上氏は「5Gでは0.001秒と非常にタイムラグが少ないので、少しでもブレーキを踏むのが遅れてしまうと危険な自動運転技術にも応用ができる」と説明。3つ目の「多数同時接続」については、「例えば繁華街やライブ会場、初詣など、人の多い場所でスマホが繋がりにくくなった経験はないだろうか。5Gになれば、その解消が期待できる。もう1つは室内の様々な機器がインターネットに繋がるようになるIoT(モノのインターネット)が普及する」。
こうした強みを活かし、Amazon Goのような無人コンビニや、ICカードをかざさなくてもよいタッチレス改札、さらに遠隔診療や遠隔手術などの技術開発が進むとされている。また、今月24日にはトヨタ自動車とNTTが資本提携を発表。それぞれの技術を持ち寄り、自動運転とIoTを活用した「スマートシティ」実用化を目指すとしている。
ただし、サービス提供エリアは現時点では限定的。2019年にはアメリカ・韓国・スイスなどでサービス提供が始まっているが、未だインフラ整備の段階だ。
その理由は、5G通信が利用する電波の特性にある。総務省Beyond 5G有識者会議メンバーでもある篠崎彰彦・九州大学大学院教授は「情報を一度に大量に流すために、周波数の高い領域を使うことになる。つまり、波長が短く、回り込みがしにくいので、光と同様、遮られることが多くなってしまうので、あちこちにアンテナを立てなくてはいけない。4Gのように津々浦々に、というのが難しいのは間違いない。逆に言えば直進性があるので、スタジアムなどの局所的なところで一斉に使えるということはある。その仕組みとして、工場地帯、スタジアム、医療で期待されるローカル5Gという概念がある。全国津々浦々を整備していくという政策目標としてはあるが、よりスポット的にするということだ。もう一つは、IoTもそうだが、機械と機械のコミュニケーションに使えるというところが今までとの大きな違いだと思う」と説明。
「3Gから4Gに変わった時には、それまで“もしもし”“はいはい”のハンドセットの延長線だった端末が、ある意味でパソコンよりも利便性が高いものになった。5Gではモノどうしの通信ができるので、いわば自動車が端末になると思ってほしい。つまり、自動車産業の情報化ではなくて、情報産業としての自動車業という時代に変わってくる」。
三上氏も、「今回のスタートのために全国に基地局を何百カ所か作ったが、届くのは概ね100m程度の範囲内。電波がなくて、“どこにある?”という“宝探し状態”で、東京、大阪、名古屋でも、整備に1年はかかると思う」との見方を示した。
2020年代は5G(第5世代)・20Gbps(目標)と言われているが、10年後の2030年代は6G・100Gbps以上の世界が登場すると言われている。
篠崎氏は6Gについて、「総務省では5Gの次ということで“Beyond 5G”と呼んでいる。5G技術や機器で日本は米中欧にちょっと出遅れた感があるので、それに危機感を持ち、今度は早めにいろいろなことをやっておかないといけなくなる。そこで今のうちに考えようという話だ。リアルな、フィジカルなロボット、つまりバーチャル・リアリティ(VR)とオーグメンテッド・リアリティ(AR)。実際の機器や設備が連動して動く。例えば、あたかもそこにいるかのようにロボットを瞬時に時差なくファインチューニングしながら動かすことができるようになる。例えば人が入れない福島原発のような場所で、現在のロボット以上の働きが期待できる。あるいは非常に腕の立つ医者が遠隔で手術できるようになる可能性もある」と話した。
三上氏は「たとえば今の動画の何十倍、何百倍にもなるのでえ、裸眼で見える3D、ホログラムのような立体的な映像配信も期待できる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶映像:え!自動運転に遠隔手術まで!? 5Gの世界で私たちは何ができる?懸念点は?
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