東日本大震災の津波で母と弟、祖母の家族3人を失い、父と二人きりで生き抜いてきた吉田芳広さん(当時9)。あれから9年が経ち、この春、高校を卒業した。父・寛さんから託された夢を胸に旅立ちを決意した少年が、震災を経験し独り立ちするまでの9年をカメラが追った。
 2011年3月11日、津波が二人の日常の全てを一瞬にして奪い去った。様変わりした町の中を車で移動しながら「見てみろよ、この瓦礫の量よ、どうすんだっけか」とつぶやくことしかできなかった寛さん。芳広さんも、車の中から不安げに街を見つめていた。