夏野氏「メディアも政治家も危機意識が足りない」…“準戦時の経済体制を”指摘の声も
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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、政府や関係機関が力を入れているのが、若年層への注意喚起や夜の街への外出自粛だ。しかし、ネット上には「外出自粛なんて知らなかった」「テレビの会見だけでは伝わらない」「試しにLINEニュース見たけど、たしかに自粛の記事はほぼなかった」といった投稿も散見される。

 しかし東京都では感染者の中心が30代、40代となっており、3月31日に感染が報告された人の中には新宿歌舞伎町のキャバクラやホストクラブ、風俗店などの従業員が目立ったという。東京都の小池百合子知事は「今日もいろんな数字が出ている。合わせて66名、50歳以下が45名だ。若いから、元気だから、何も問題ないからというのではなく、ひょっとしてということを感じてほしい」と警鐘を鳴らした。

 また、1日に会見を開いた専門家会議の尾身茂副座長は「3つの密をできるだけ避けていただきたいということ。自身の感染リスクを下げるだけでなく、多くの人々の重症化を食い止め、命を救うことにつながることは再三申し上げている」と述べた上で、「専門家会議から市民へのメッセージが十分に届かなかった」「コロナ疲れ、自粛疲れとも言える状況が見られ、警戒感が予想以上にゆるんでしまった」ともコメントしている。

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 1日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した作家の乙武洋匡氏は「小池都知事の会見は危機感を訴えかける内容だが、あれだけ3密の条件を兼ね備えている会見場の様子を見せられれば、“そこまでじゃないのか”という印象を持たれてしまうと思う。また、“外出自粛要請が出ているなんて知らなかった”ということだって、冷静に考えればあるかもしれない。我々のように番組に出演している人間は日々ニュースに触れているが、生活スタイルによってはニュースを全く見ない人もいるだろうし、ニュースアプリも芸能ニュースに興味のある人には芸能ニュースばかりが表示されるような仕組みになってきている。やはり地震のアラームのような仕組みを使って、もっと通知することはできないのだろうか」と訴える。

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 また、お笑い芸人のパックンは「政府が発するメッセージにはわかりづらいところがあると思う。一斉休校を解除するというメッセージが出たことによってアンダーコントロール的なニュアンスが伺えた。国民の気が緩んで当然だと思う。それが伝わっていないなら、その責任は政府や我々メディアにもある。武漢ではドローンが家の中に入るよう住民に呼びかけていた。日本でも繁華街に選挙カーのようなものを走らせて、呼びかけてもいいのではないか」と指摘した。

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 一方、慶應大学特別招聘教授の夏野剛氏は「政治家も官僚も、すごく気にしながら発信している。なぜなら、間違えて厳しすぎることをやった場合のメディアの叩きっぷりが半端ないからだ。なんでもかんでも反対するという立場の報道機関と、それを囃し立てる風潮がある。そして、全く知らないということではなく、“ヤバくね?”と言いながら外出しているはずだ。自分の大学でも、3月にヨーロッパ旅行をしていたバカが山ほどいる。それくらい大学生は危機意識がない」と持論を展開。その上で、「国民だけでなく、政治家もメディアも舐めていた。国会でマスクをし始めたのも、メディアが出演者たちの距離を取り始めたのも、志村けんさんが亡くなって以降だ。“俺たちまでは来ないだろう”という雰囲気があったと思う」とした。

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 元経産省キャリアで制度アナリストの宇佐美典也氏は「問題は、政府が今回のような事態を想定しておらず、法律もないので、誰が責任を持ち、何をするかが決まっていなかったということだ。専門家会議についても、それが何かを説明できる人はほとんどおらず、新型インフルエンザ対策特別措置法が改正されて、ようやく“政府の司令塔に対するアドバイス機関”という位置付けが決まり、体制が整った。メッセージが伝わらないのは当たり前で、それは国民側というより、長年放置して何も考えてこなかった政治側の問題だ」との考えを示した。

 さらに宇佐美氏は、自粛とセットで語られている補償の問題について「ドイツでは、州の財務大臣が補償の問題で自殺するという出来事があった。ただ、補償というのは平時の経済が続き、そのうちに自粛が解除され、売り上げが通常のペースに戻るまで減った分を、ということだ。しかし、現状はそうではなく、このままでは最低でも1年、スペイン風邪の際には3年ほど続いた。いわば“準戦時”の経済だし、補償と給付は切り分けて考えないとといけない。しかし、そのための法律もできていないし、国会ではそういう議論もされていない。夜の街で楽しむ側は経済的な余裕がある人たちだが、働いている側はそこがセーフティーネットになっていて、仕事を奪われると行くところがないという人も多い。やはり給付についてはセットで議論しないといけない。安倍総理はこの根本的な問題について、思い切って問題提起すべきだ」と提言した。

 夏野氏は「戦時中には補償なんてないし、まずは感染をどう食い止めるかだ。補償の話はあとでしないといけない。給付についても、他に仕事がなかったり、生活保護が機能していない場合だ。また、利益率の良い夜の商売を補償しようとしたら大変だ。小池都知事の会見では女の子がいるようなお店などと発表していたが、“レストランもやばい。居酒屋もやばい”という雰囲気になってきている。やるなら補償の範囲を厳密にしないと、ごまかす者も出てくる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:「政治家も国民もコロナを舐めてた」外出自粛要請をなぜ無視するのか?政府メッセージに課題も

「政治家も国民もコロナを舐めてた」外出自粛要請をなぜ無視するのか?政府メッセージに課題も
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