無症状だからといって感染していないと言い切れない新型コロナウイルス。感染拡大を食い止めるため、国や自治体が特に外出自粛を求めつづけているのが「若者」だ。しかし、専門家会議の尾身茂副座長が1日、「市民の皆さんへのメッセージが十分届かなかった。あるいは十分理解されなかった」と述べたように、危機感の足りない若者も少なくないようだ。
実際、Twitter上には「普通に遊びに行って来た!」「客が来ないと店もかわいそうだからあえて飲みに行ってきまーす!」「マスクして地方に帰省しているよ」「コロナ?知らね。毎日こんなクソみたいに人口密度の高い満員電車に乗ってたらとっくに感染してるやろ」「自粛を求めるなら生活保障くらいしなきゃ餓死する人出るよ。自粛したくても自粛できない」「ぶっちゃけ若者は重症化しないって言われてるのに自粛する意味わからん。どうでもいい」といったものがある。渋谷で聞いてみても(3月31日)、「若い奴らはやっぱ飲みに行くね。気にしてないよ」「“自粛”は行くよ。“絶対出てはいけません”くらい言ってもらわないとね」と、要請を意に介さない若者たちの姿が浮かび上がってくる。
問題視されている若者の行動には「流行地域への旅行」「宴会などへの出席」などがあり、京都産業大学では「欧州旅行(3月2~13日)をした4人のうち3人が感染。帰国後、送別会や懇親会に出席し、感染拡大」、県立広島大学でも「欧州旅行(3月5~13日)をした卒業生1人が感染。帰国後、卒業式(3月23日)に出席」と、クラスターになってしまっているケースも現れている。
EXITのりんたろー。は「僕も1週間ぐらい前までは本当に軽視していたし、対応が甘かったことを反省している。大きかったのは、志村けんさんがお亡くなりになられたこと。それでギャップを埋めるじゃないが、僕らみたいなのが率先して若者に対してしっかり発信しなきゃなと思って、情報を入れるようになった。海外では若者も亡くなっているし、人工呼吸器が足りなくなって命を選ばないといけない現実があると知った」、兼近大樹も「情報が入ってこないからこそ軽視しちゃうというのがある。結局、若い世代はニュースを見ようとしていない。それこそYouTuberの方とかが一斉に情報を流すようになったりすればいいと思う。僕たちの世代が激烈に頑張らないといけない。ただ、自分で何かを感じた時にやっと“俺、こうした方がいいな”と思うのが若い世代の特徴。親友、大切な人から真剣に言われたことは意外と刺さったりする。だから、その横のつながりで伝えていくことが一番効くんじゃないか」と語った。
一方、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「自分も今の仕事をする前にニュースを見ていたかと言われれば、見ていなかった。しかし情報を得る・得られないで生き残る・生き残れないが変わってきてしまうことになるし身近な人が死んだから気づいたじゃ遅い。ちょっと熱が出たら休もうという雰囲気になっているけど、“人が休んだ時が自分のチャンスだ”と言われてきたし、この数カ月で意識を急に変えるのはなかなか難しいと思う」とコメント。
その上で、「その通りだというところもあるが、朝、仕事に行く時に薬局やスーパーにおじいちゃんやおばあちゃんが並んでいるところを見かける。出歩かない方がいいのはどの世代も同じだし、わざわざ若者だけを言うのはどうかと思うし、その時の言い方もちょっとムッとする。入社式を縮小した企業や、YouTubeで演説した知事のことなどが報道されているが、大学の後輩たちを見ていると、普通に入社式をしたり、リモートにしていない会社も結構ある。満員電車に乗せられて通わされているのに、外出するな、遊びに行くなというのはあまりにもかわいそうだと思う。トップダウンでやるしかないのが日本の風土なのだとしたら、せめて流行っている東京の企業は意識を高くしてもいいじゃないか」と訴えた。
また、ジャーナリストの丸山ゴンザレス氏は「ここ1週間くらい夜の街を車で回ったり、周りの人にリサーチをかけたりしているが、いまだに銀座には60代、70代の社長さんが飲みに来ている。“俺は大丈夫”と思っている人がトップにいる以上、トップダウンはないのではないか」、ライターで「ニッポン複雑紀行」編集長の望月優大氏は「出歩かないようにしようということと、それを可能にするためにお金は補償しようということだ。特に海外旅行をしていた人について“犯人探し”みたいになっている報道が多く、どんどん言い出しにくくなっていると思う」と指摘した。
清水一紀医師は「現段階では、やはり年齢が上がっていくと重症化のリスクが上がっていて、高齢者に比べれば10代、20代の重症化リスクは低い。しかし色々なデータが出てきて、少しずつ修正が加えられていくと思う。これからのことで危惧しているのは、“自分は大丈夫だろう”と海外で卒業旅行をしていた方が新天地で仕事を始めて、そこで感染が発覚するということだ」と話す。
「ただ、本来、国民に対して説明するのは専門家会議というよりも政府の役割だ。国民の命を守り抜くということで、政治家やリーダーは強いメッセージを耳にタコができるくらい出していかないといけないと思う。そして公衆衛生に携わる我々、そしてメディアは情報を届けたい人にどうすれば伝わるかを工夫しないといけない。たとえばオーバーシュートという言葉だが、公衆衛生の文脈で感染症の管理をする時にそういう表現をすることはあるが、ちょっと違う文脈で使われているかなという感じがする。ただ、言葉は生き物なので、オーバーシュートという言葉が世界的に“行き過ぎた急増”という意味になっていっているようだ」。
実際、会見や報道では「リンク(感染源)」「クラスター(集団)」「オーバーシュート(行き過ぎた急増)」「ロックダウン(封鎖)」「エアロゾル(空気中の微小な液体や粒子)」「ソーシャル・ディスタンシング(距離を保つこと)」といった新語が次々と登場している。
りんたろー。は「響きがかっこ良いからか、若者は“ロックダウンするらしいよ”と言っているけど、それがどういうことを指すのか分かってる人は少ないと思う。俺もどこまで封鎖されるのかとか分からないし」、兼近も「芸人もアホばっかりなので、グループLINEで“ちょっと聞いてよ。ロックダウン始まるらしいよ”というのが回ってくる。全部デマだった」と話した。
ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「原発事故の時にも、メルトダウン、メルトスルーといった単語が出てきて、専門家も色々と言っていたが、誰が正しかったかは分からなかったと思う。今スタジオにいて何だが、有事の際に素人コメンテーターは全く役に立たないなとつくづく思うし、基本的には聞くだけの役割しかないと思っている」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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