4月4日に新宿FACEで開催された「KHAOS.10」で、K-1選抜と「格闘代理戦争」チームの対抗戦が開催され、第6試合・副将戦で格闘代理戦争出身の稲垣澪(K-1ジム大宮チームレオン/ゲーオーズ)が“あわやダウン”の場面から強烈な右ストレートのカウンターを一閃。K-1選抜・山浦力也(北斗会館浅科道場)をKOで下して輝かしいプロデビューを飾った。
空手とキックボクシング歴のある稲垣は「格闘代理戦争 K-1 FINAL WAR」でゲーオ・ウィラサクレック率いるゲーオーズの大将としてチームを優勝に導くなど中心的な活躍をした選手だ。また一足早くプロデビューした弟の柊とともに新たな格闘兄弟として新風を巻き起こしている。一方の山浦は「k−1甲子園2018」-60kgの優勝者で、すでにプロ5戦で2勝(3敗)。昨年には「格闘代理戦争」出身の岡嶋形徒に判定負けと、同企画の卒業選手と浅からぬ因縁もある。
1Rの序盤から両者強いローやミドルでの攻防。デビュー前から「プロで即戦える」とポテンシャルの高さに定評があった稲垣だけに、アマ時代から実績のある山浦と堂々と打ち合う展開。山浦がプロの洗礼とばかりにボディ、ミドル、前蹴りと見事なコンビネーションで追い込むが、稲垣もブレイクでひと呼吸置くと、左右のパンチとヒザの連打でお返し。一進一退の攻防でラウンドが終了した。稲垣の落ち着きのある試合運びに、AbemaTVでゲスト解説を務めたK-1ファイター・愛鷹亮も「レベルがデビュー戦の選手じゃない」と舌を巻く。
2R、山浦が素早く攻勢をかけるが、じっくり見ていた稲垣が連打とヒザのコンビネーションで反撃。2発目のヒザがボディにえぐるように入り、山浦はスタンディングでのダウンを取られる。ダメージは浅くその後も両者の攻防が続くが、スイッチが入ったときの稲垣のパンチとヒザの爆発力には一日の長があったようだ。
最終3R序盤、ローとパンチのコンビネーションでガラ空きになった稲垣に山浦がカウンターの左フックを合わせる。一瞬フラつき、後退してピンチを迎えた稲垣だったが、ロープ際に追い込み勝負をかけた山浦の右に対して、強烈な右ストレートのカウンターをねじ込んで大逆転のKO勝ちを収めた。
デビュー戦での大逆転を見せた稲垣について愛鷹は「ちょっと脳が揺れたところから気持ちを切り替えて攻めに転じる。そこが強い選手は勝てますよね」と勝者の条件について語る。一方、もう一人のゲスト解説者である不可思も「効かされたあとで真っ直ぐ鋭いストレートが打てるのが凄い。山浦選手が効いたところで大きなスキがあったのかもしれない。それを仕留めた稲垣がアッパレです」と絶賛した。
勝った稲垣だが、勝負を決めた一撃の瞬間には、山浦の右も確かに稲垣の顔面をとらえており、まさに紙一重。そんな勝利を物語るかのように稲垣の鼻からは鮮血が滴ったが、視聴者からは「綺麗なカウンターだ」「これは面白い」「倒れ方やばい」などの声が上がった。
その後マイクを握った稲垣は「たくさんの応援で勇気をもらいました。山浦選手は凄い強い選手で、一発いいパンチをもらって反省点たくさんのデビュー戦です。フェザー級に稲垣澪がいることを知ってもらえたら嬉しいです」と話した。