安倍総理は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、早ければ7日にも「緊急事態宣言」に踏み切る意向を固めたことがわかった。安倍総理は周辺に「感染者が爆発的に増える前に宣言を出したい」と話しており、背景には東京を中心に感染者が増加したことに加え、感染経路が追えない事例が増えていることが考慮されたとみられる。
緊急事態宣言は、新型コロナウイルス特措法に基づき安倍総理が都道府県を単位とする区域や期間を示すと定められている。今回、有効期限は3週間程度で、対象地域は東京を含む首都圏のほか大阪、兵庫などを軸に検討が行われている。
発令を受けた該当地域の知事は、感染拡大防止などで必要と判断すれば、住民への不要不急の外出自粛要請や施設の利用停止、イベントの開催制限の要請・指示などの措置を取ることが可能となる。使用制限を要請できる施設は学校や百貨店、体育館、ホテルなど。スーパーマーケットも含まれているが、食品や医療品、燃料などの生活必需品の売り場は営業を続けることができる。こうした要請や指示に違反しても罰則はない。
新型コロナウイルス特措法には、強制的に外出を禁止する規定はなく、鉄道やバスなど公共交通機関の運行を止めて封鎖する規定もない。つまり、諸外国で実施されている「ロックダウン(=都市封鎖)」とはならない。
とはいえ、実際に緊急事態宣言が出されれば初めてのことになる。我々はどのような心持ちで準備すればよいのか。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「イメージリハーサル」を推奨する。
「緊急事態宣言は特措法で裏付けがあるとはいえ、国民にとってまだまだ曖昧な状況が続く可能性がある。もちろん、今までよりは強力な要請になると思うが、従わなくても罰則がないという中で、対象機関、施設、イベント主催者がどう対応するかがわからない状況に向き合っていかなければならない。そこに直面していくという心持ちと、その中で『自分なりのものさし』をきちんと持っておくことが大事。例えば、学校も一斉休校になっているとはいえ、入学式を行ったり課題を提示したり、健康確認のために一時登校をさせたりしているが、各家庭や個人のレベルで『今の時点では安心して通わせられない』となれば、休ませるのは当然選択肢として妥当だと思う。心理学では“イメージリハーサル”というが、自分なりの気持ちやイメージの中で、考えられる可能性や選択肢を挙げ、準備をしておくことが重要。未知のものに直面した時はデマや未確認情報も出回ると思うが、自分が何を頼りに判断していくか、どう行動していくかが自分の中でイメージ・準備できていないと、慌ててスーパーに行って買い占めたりパニックに陥ったりする、ということが起きてしまう」
また、緊急事態宣言によるメリットとデメリットも指摘。メリットについて「単純に国民一人ひとりの危機意識がより高まること。また、企業や団体においてはそれぞれの風土で培われてきた論理があって、大義名分がないと中々テレワークにできない、休みにできないといったことがあるが、宣言によってみんな揃ってこれまでと違った、そして思い切った動きができるようになる可能性がある」とし、デメリットについては「個人のレベルでは、『外出自粛』という枠組みは今までと変わらなくても、マインドセット(思考様式、心理状態)は大きく変わる。外に出て何かをする、買い物をする、趣味や習い事にお金を費やすなどといった経済活動はさらに控えられるようになっていくと思う。安倍総理はその辺りは特に気にしているのではないか。株価はある程度織り込み済みとはいえど、いわゆる『アベノミクス相場』が終わりを迎えるとすれば、それは政権そのものへの批判や評価にも直結しうる。また、経済的安定や雇用の継続は、働いている人にとってまさに死活問題だと思うが、自分でコントロールできる部分とできない部分の両方がある。自分の心を守るためには、できる限りそこを切り分けることが大事」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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