中国で8日、新型コロナウイルスが最初に拡大した武漢市の封鎖が2カ月半ぶりに解除された。AbemaTV『けやきヒルズ』は、現地で取材を続けるテレビ朝日中国総局の森林華子記者に状況を聞いた。
封鎖解除当日の武漢の様子について、「午前0時に封鎖が解除されてから駅には大勢の人が集まっていて、『ようやく出られる』と疲れた表情を浮かべながら出発していった。駅のほかにも空港、高速道路も全面解除されて、きょうだけで5万5000人が武漢を離れる予定となっている。一方で、政府が人への感染源の可能性があるとした野生動物が売られていた市場は、バリケードが築かれたままになっている」と森林記者。
一方で、武漢は感染初期の段階で医療崩壊に陥っていたと指摘。「当局の発表では、2500人以上が亡くなった。ただ、『家族が亡くなったのに政府の合計に入っていない』と我々に訴える市民が何人もいて、実際はさらに多くの人が亡くなっているのは間違いない。政府系メディアは解除を大々的に盛り上げているが、家族を失った武漢市民は政府の隠ぺい体質に不信感を募らせている」という。
武漢市内では現在、タクシーや地下鉄、バスなどが利用できるようになったものの、身分証を登録して感染リスクが低いことを示すQRコードがないと利用できないということだ。森林記者は「もし感染者が出た場合にすぐ追跡できるよう、市民の個人情報をしっかり取って、当局が厳しい管理下に置いている。武漢は厳しく、北京の方は少し緩やかな感じはするが、中国全体を通してこのような状況にある」と説明した。
とはいえ、中国では新たな感染者の数が激減し、国内では“収束ムード”も漂っている。一方、日本でも東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に「緊急事態宣言」が出され、安倍総理や各都府県の知事が外出自粛を強く要請したが、強制力や罰則はない。
日本の“自粛”で感染拡大は防止できるのか。森林記者は「国の有り様にも関係すると思うが、中国は徹底的に情報を吸い上げて管理し、罰則も設けている。例えば、嘘を申告して感染を広げてしまった場合、死刑もありうるなど厳しく対応している。ただ、封鎖が突然行われたことによって医療崩壊が起き、家族を失った人に話を聞いたところ『本来であれば亡くならずに済んだのではないか』『準備をせずに封鎖したことは間違いだったのではないか』と悔しい胸の内を明かしてくれた。この方は『日本のやり方でできればそれが一番いいのではないか』と話していた」と伝えた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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