シングルマザーが悲鳴「私が感染したら誰が子どもたちの面倒をみてくれるのか…」 子育て世帯への家賃補助や現金給付策を
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 「私が感染したら、誰が子ども達の面倒をみてくれるのか。給付の手続きにも子どもを連れて行かなければならない。感染が怖い」(シングルマザーの声)。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために発令された「緊急事態宣言」、そして「緊急経済対策」。しかし、国や自治体の支援や対策からこぼれ落ちてしまいそうな人たちがいる。

 NPO「全国女性シェルターネット」の北仲千里共同代表によると、経済状態の悪化や自宅待機などによる家庭内の児童虐待・DVの悪化、件数の増加が懸念されるという。実際、「家にいる夫のストレスが溜まり暴力を振るわれた」「これまで以上に夫の監視が厳しくなった」といった被害相談が寄せられているという。また、そうした家庭の子どもを受け入れる児童養護施設からも不安の声が聞こえてくる。児童養護施設「さんあい」の高瀬一使徒施設長は「子どもが感染していれば濃厚接触は不可避。しかし、子どもたちには他に行ける場所がない。施設内で隔離となった場合も、現状では感染防護用具(マスクやゴーグルなど)が用意できないので、優先的に医療機関に入れるなどの施策をしてほしい」と訴える。

■3歳と1歳を育てるシングルマザー「想像以上にしんどい。もし自分が感染してしまったら…」

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 緊急事態宣言の対象となった東京都の場合、医療従事者などの家族を対象とした特別保育は行う方針で、現時点では休園を求めていない。しかし自治体によっては原則休園を決めている所も出てきている。

 都内で3歳と1歳の子どもを育てるシングルマザーのサクラさんは、AbemaTV『AbemaPrime』に対し、「緊急事態宣言が出た翌日から仕事が休みになった。“とりあえず2週間くらい”というざっくりとした目安で言い渡されているが、どうしてもやらなくてはならない仕事があるので、何日かは出勤しなければならない。私の住んでいる区では緊急事態宣言の前から保育園の登園自粛要請が出ていたが、お願いすれば預かってはくれる。ただ、もし自分が感染してしまったら、と考えてしまう。東北の実家にいる父を呼んで、東京の自宅で面倒をみてもらい、私は隔離されるしかないと思う。もちろん子どもにも絶対にかからないでほしい。辛い想いもするだろうと思うと気が気ではない」と話す。

 経済面、そして子どもや自身のメンタル面も気がかりだ。「給料に関しては、休業補償として8割が給付されるということなので、それでやっていく予定だ。しかし、元々そんなに給料が多いわけではなくギリギリの生活だったので、かなり不安だ。また、子ども2人と家にずっと籠もっているということが、想像以上にしんどい。なかなか私の言うことをきかないし、自分の時間も全く取れないので、私も子どももストレスが溜まっている。Zoomなどのサービスも普及してきていると思うが、誰か大人の人と話せるだけで私はかなりストレスが発散できる。そういうサービスももっと生まれたらいいと思う」。

■「安心して休めるような環境を作るべきだ」

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 26年にわたり生活困窮者の支援活動や貧困問題に取り組んでいる一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は「人口密度を下げるため、休園という苦渋の選択をした区もあると思う。ただ、一人親家庭やテレワークができない職種もあるので、医療従事者を対象とした特別保育はあるので、その枠をもう少し広げて、家庭の事情に合わせた小規模な形での保育を行うなど、柔軟に対応してほしい。そして本来は国がきちんとした給付、休業補償を行い、安心して休めるような環境を作るべきだ」と話す。

 ひとり親家庭で育ったというお笑い芸人のパックンは、「“外出を控えて下さい、家にいて下さい”と言っている以上、欧米では“つなぎ”の対策として、家賃を滞納している場合であっても強制的な立ち退きは禁止するという措置を取っている国や自治体もある。大家や不動産業者に対しては、後で穴埋めを考えるということだ」とコメント。

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 稲葉氏も「行政に求めたいのは“アウトリーチ型”の支援の実施だ。例えば子ども食堂も閉めざるを得ない現状があるが、文京区などでは各家庭に食品を届ける支援を行っている。虐待の問題についても、保健師が各家庭を訪問して親の悩みを聞くことをすべきだ。また、ネットカフェ難民の問題とも関連してくるが、これだけ“ステイアットホーム”が言われる以上、その“ホーム”を失わないための支援が非常に重要になってきている。すでに私たちの所にも“3月末から家賃が払えなくなっている”という相談が来ているので、大家や不動産業者に対し、家賃を滞納しても追い出さないでほしいという緊急アピールを出したところだ。政府からも、せめて追い出すことはしないでほしいと呼びかけてほしい」と訴えた。

■休業補償とは別立てで5万円ずつ配るといった政策を

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 元経産官僚の宇佐美典也氏は「私には妻もいるのでサクラさんよりも楽な状況ではあるが、気持ちはよく分かる。頼るところが実家しかないのに、帰省しようとすれば“ウイルスを持ち込むのか”と非難される。かといって東京でサポートが受けられるかといえば、そうでもない。結局は家にいるしかなく、親も子どももストレスが溜まっていく。そういう悪循環が起き始めている。政府はそういう視点に立って、帰省した人を受け入れる側の地方自治体が隔離の環境を用意するなどの支援策を打ち出さなければ、弱い人達が苦しい目に遭ってしまう。急いで作ったものとはいえ、緊急経済対策にそういう部分が無かったのは残念だ。また、給付という考え方も重要だが、直ちに出血を止める施策も大事だ。すでに電気・ガス・水道などの公共料金の支払猶予策は入っているが、家賃の徴収を止めるような施策も即効性がある」と提案。

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 一方、慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「もっと早くやるべきだったし、政府を擁護するわけではないが、今回の緊急経済対策は細かな問題を調整する前の段階として、マクロのレベルでのものだった。そこからこぼれ落ちる方々への穴埋めはこれからだ。メディアは政府を非難するのであれば、具体策も提示しなければならないと思う。ストレスの問題についても政府に解決に求めるのは違うと思うが、ネットサービスによって発散している方々も確実にいると思う。インターネットのトラフィックも増えているので、例えば通信環境の整備などに国が関わることも考えられる。しかし、これもすぐにできるわけではない。家賃についても、どれくらいの額なのか、あるいは支払い方法などを考えると手続きが非常に複雑になる」と懸念を示し、「現金給付の方が早い。これだけ少子化が問題になっているわけで、自治体も子どもがいるかいないかは99%把握できている。そこで子育て家庭に対しては休業補償とは別立てで5万円ずつ配るといった政策で、子どもさんをケアしているだけで生活ができるようにすべきだ」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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