8日、全国の新型コロナウイルスの1日の感染者数が初めて500人を超えた。東京都では、144人が新たに感染。また、緊急事態宣言が出された7都府県以外でも173人の感染が確認された。
こうした事態に影響を及ぼしているとみられるのが、感染拡大が本格化した3月以降に顕著となっている“コロナ疎開”だ。東京から地元に帰省した人の中で感染が確認されている事例も相次いでいる。さらに3月末、岐阜県に住む男性が発症後に沖縄旅行に行っていた例もあった。
では、今後さらに感染拡大が続くとどういったことが懸念されるのか。東京工業大学准教授の西田亮介氏は「この間、ロックダウン(都市封鎖)の是非が言われた。日本では難しいという大臣の発言もあり、必要性は慎重に議論されるべきだが、いくつかやり方がないともいえない」として、次の“2つのシナリオ”を話す。
(1)警察法に基づく「緊急事態」
「新型コロナ特措法の緊急事態とは別に、警察法にも緊急事態が規定されている。事実上、内閣総理大臣と内閣が実質的に直接警察を指揮、命令できる。そういう方法を使えば、いっそう厳しく都市を封鎖できそうだ」
(2)自衛隊法に基づく「治安出動」
「自衛隊の業務の中に治安出動というものがある。元々は侵略を念頭に作られている規定だが、もし実力をもって都市を封鎖する必要があれば全くできなくもないだろう」
西田氏は「どちらも過去に実行されたことがなく、今後もほとんど考えられない方法だと思うが、全く無いわけでもない」と指摘。また、ロックダウンについて「本当に強制的な都市封鎖が必要か考えてみてほしい。アメリカ、ヨーロッパ、中国、都市封鎖や強制的措置が取られた国があるが、どの国が上手くいったかは現状はっきりしない。日本より明確に上手くいっている国も見当たらない」とした上で、「強力な封鎖と両立しないはずの経済への影響についての懸念が同時に不安視されるなど、日本も当然混乱し、『都市を封鎖した方がいいんじゃないか』という声が大きくなっている。こういう声が大きくなると、政府も『ロックダウンした方がいいのか』『ロックダウンの根拠と手段を考えるべきだ』となりかねない。それはとても危ないことだ」と危惧した。
「一連の感染症をめぐる問題は、必ずしもウイルスに関わることだけではなく、混乱した状況そのものがさらなるリスクを招来しうる」と警鐘を鳴らす西田氏。刻々と状況が変化する中で世論にも政府にも短期間で大きな“ブレ”が起きているとし、「日本でも感染者数が大きく増えるなど状況はもちろん変化しているが、政治もメディアも世論もまったく正反対の意見をこの短期間で主張し、大きく振れている。特措法の要請や自粛は自治体と首長、事業者、市民それぞれに対して状況を判断して決定することを求める作りになっているが、とかく国や都道府県に『何か決めてほしい』と思ってしまっていることの危険性に注意を払うべきだ」とした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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