自民党が少子化対策で“100万円の誕生お祝い金”を提言…それでも解消されない出産・育児の不安とは
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 「出産時に少なくとも100万円、しかも子どもが増えると手厚くなるという、思い切った“誕生お祝い金”として、新たな給付の新設を提言した」。

 自民党は14日、5年ぶりの見直しが迫る政府の少子化社会対策大綱に対し、独自の緊急提言をまとめた。第一子の誕生に際しては“お祝い金”100万円を支給、児童手当の支給対象は高校生まで拡大。また、多子世帯への増額、高等教育を無償化。さらに妊活・不妊治療への支援・保険適用を行うことで、望まない妊娠を減らす取り組みも盛り込んだ。

 自民党の松山政司・参院政審会長は「86万4000人という昨年の出生数の推計が出ている。これはなんと明治32年以来の統計開始以来、初めて90万人を下回った状況」「国難とも呼ぶべきこの少子化の状況の中に“子どもを持ちたい”と思う人が増えていくような環境づくりのために大きく前に踏み出してほしい」と訴えた。

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 自民党に先駆けて同様の案をぶち上げていたのが、「2ちゃんねる」創設者のひろゆき(西村博之)氏だ。しかし、ひろゆき氏のプランは、自民党案の10倍にあたる1000万円。2月4日の『ABEMA Prime』の出演時には「インパクトって重要最初だと思うし、1000万円をポーンとあげたとしても、最終的に国は得をする。1000万円と聞けば“あ、得するじゃん!今の仕事を辞めてでも、子ども産んで育てよう”と思う」と話していた。

 現行の制度では、「出産育児一時金」が一児につき42万円、児童手当は3歳未満で月に1万5000円で、小学校卒業までは月に1万円(3人目以降は1万5000円)、中学校卒業までは月に1万円が支給されている。また、出産手当金、育児休業給付金、児童扶養手当といった仕組みも用意されている。

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 ひろゆき氏に今回の自民党案について改めて尋ねてみると、「スタートとしてはいいと思う。すでに出産一時金が42万円、自治体や健康保険組合からもらえたりもする。20代の手取り年収が平均200万くらいだと考えれば、トータルでそれと同等の額を支給することができれば、仕事を続けていくことと子どもを産むことどっちが得かという計算も立つ。内閣府の調査でも、子どもは欲しい、でも経済的な理由で持てないよという人たちがいる。じゃあちょっとずつ解決できる人たちを増やして解決していくしかないと思う」と話す。

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 他方、日本家族計画協会理事長の北村邦夫氏は「コロナ対策で10万円がもらえるという話についても、役に立つよなとか、嬉しいなと感じるのは人間の当たり前の感情だ。ただ、たかだか100万円もらったことで子どもを産むか、育てられるか、と言われれば疑問だ。出産育児一時金は1994年から始まっているし、42万円になってからも時間が経っている。しかし、それで出生数が増えたということはない。自治体がお祝い金制度を採用したことで出生数が増えたという話も聞いたことがない。こうした制度は僕たちにも負荷がかかるものだし、“なんで子どもを産まなくてはいけないのか”という大切な議論を抜きにして金だけで解決しようというのはずれていると思う」と懸念を示す。

 その上で北村氏は、「いろいろな全国調査を行ってきたが、例えば“男女の生活意識に関する調査”の結果を見ると、結婚に対する、いわゆるセックスに対する消極性が非常に気になっている。結婚をしているカップルの47.2%は1カ月以上セックスがないという状況にある。また、すでに子どものいる人にとっては、例えば待機児童はゼロでないと困るわけだし、児童虐待などの社会問題もある。加えて、年間に16万件近くの中絶が行われているが、僕の全国調査では、“結婚していないから産めない”という理由が多かった。本来、中絶は母体の健康、経済的な自由、暴力・脅迫による妊娠というのが許可条件だ。これは婚外子の問題にもなってくるが、結婚していなくても産めるような環境を作ることも解決する一つの近道だと思う。その後のフォロー、サポートを周囲が、社会が、親族がどうやって支えていけるのかということも考えていかなくてはいけない。つまり、これまでやってきたことは既に妊娠している、あるいは既に子どもがいるということが大前提になっているという気がしてならない」と指摘した。

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 これに対しひろゆき氏は「結婚をすると大変だという情報がネット上にはたくさんあるが、みんな嫌なことばかりを言っているだけで、楽しかったことは言わない。子育てについても同様だと思う。日本の場合、シングルマザーが経済的に厳しすぎるので、働けるようベビーシッターについては国が負担するといったやり方もありだと思う」と話した。

 AV女優の紗倉まなは「仕事柄、私も性に対してものすごく淡白だという相談を受ける機会が多い。社会に不安があるからなのか、娯楽に溢れているからなのかはわからないが、いきなり“1000万円でどうでしょう”と言われたとして、セックスに対して意欲的になるのかと言われたら、そうではないのではないか」とコメント。

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 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「地元の友達には子どもが3人以上いるという人が結構いるが、姑で苦労はしたくないし、お母さんの方の両親が近くに住んでいて、そこにしっかり頼っているというのが共通点だ。にも関わらず、結婚したらお父さんの方に姓を合わせるケースが多い。そういう“家”に対する考え方の問題についても見直していけばいいと思っている」と提言、「少子化問題は個人の幸福の話というよりは、国家や民族の話なので、なかなか自分の問題として考えることができない。そして、僕はインターネットが個人主義を加速させたと思っている。ネット上では他人と積極的に関わることは疲れるよね、無駄だよねという考え方が流行るし、“個人の自由を最大化しよう”というメッセージも強い時代だ。一方、田舎の山奥で生まれ育った僕は“一族を大事にしろ。墓参りには帰ってこい”言われて育ったが、最近そういうものに縛られるなというメッセージが多いし、僕自身も個人主義だ。そういう幸せの問題についても教育レベルで考えていく必要があるのではないか」と話していた。(ABEMA/『ABEMAPrime』より)

▶映像:「子どもは少子化対策の道具じゃない」出産で100万円支給? お金以外の対策は?

「子どもは少子化対策の道具じゃない」出産で100万円支給? お金以外の対策は?
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