「危険なことわからんやつはとっとと感染しちまえ」。そんな“過激”な注意喚起のツイートが話題を呼んだ京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、ウイルス学の専門家として、動物のコロナウイルスを参考に、ウイルスとの接触を「100分の1」にしていくことを提唱している。
20日の『ABEMA Prime』では、その戦略について宮沢教授に聞いた。
まず、今回の新型コロナウイルスの特徴について宮沢氏は「一般的にコロナウイルスの性質として、抗体が上がっても翌年また下がってまたかかってしまうということはあるので、動物のコロナウイルスの中には生涯感染するものもある。それに対し、ヒトのコロナウイルスは風邪で治ってしまう。今回の新型コロナウイルスは、その中間だ。潜伏期間は2~6日くらいが平均だが、14日も経って発症する人もいる。そして発症したとしても熱が急激に上がらず、じわじわくる。治るのも遅い。治ってからも再活性化する場合もあるといわれている。また、多くの人は発症しないため、治って症状がなくなった人も含め、気付かないうちにウイルスを出して感染を広げてしまっている人も多い」と話す。
また、ウイルスに感染して抗体を持たせることで拡大を抑える集団免疫の獲得については「集団免疫が付いているかどうかについて、政策の重要な判断材料の一つだ。すでに2割くらいの人が感染しているのではないかという説もあるが、もしそうだとすれば、あと4割くらいにの人が感染すればいいことになる。しかし、明確なことはわからない。抗体検査を進めるべきだという意見もあるが、陰性だがウイルスを出している人もたくさんいる。私はずっと注意喚起しているが、その結果で一喜一憂しても仕方がない。検査キットの良し悪しについても、世界中が決めかねている状態だ。しかし日本は他国に比べ死者数が少ない。さらに努力すれば、これはもっと下がっていくと思う。ワクチンやいい薬も出てくると思うのでので、それまで1、2年、辛抱するというのがベストシナリオだと思う」と説明した。
その上で、感染者がくしゃみをした場合、一回で約100万個程度のウイルスが飛散、そのうち1万個以上が短時間に体内に入ることで感染リスクが高まるため、それをいかに抑えるかが重要だと指摘する。
「このウイルスの感染拡大からいくら逃げ回っていたとしても、人口の6割くらいが感染しないと終わらない。その中で“接触8割減”を1年やれと言われても無理だだと思う。完璧を目指したとしても感染する人は感染するし、完璧を目指せば目指すほど経済が動かなくなってしまう。それなら諦めて、外に出たとしても逃れてやろう、いつかは感染するけれども、医療崩壊させないように感染するのを遅らせよう、ということだ。“100分の1に減らせ”と言っているのもそういうことで、“100万個のうちの1個”にしなければならないのではなくう、“100万個のうち1万個以下”でいい。今回のウイルスは長生きするという報告もあるし、最後の1個を殺すまでには時間がかかるが、全てが生きているというわけではない。くしゃみの飛沫がかかった部分を触ったとしても、手に10万個が付けば多い方だろうし、そのうちの1万個を防げばいい。つまり、“どこかにウイルスはいるはずだ”と常に考え、触った手から目や口、鼻、呼気から入るものが100分の1になるようにするということだ」。
では、私たちがウイルスとの接触を“100分の1”するためには、どのような方策が考えられるのだろうか。
「飛沫をそのまま浴びないという意味では、スーパーやコンビニの透明のシートでもかなりブロックされると思うし、空気が流れていたり、広い場所であれば、それほど気にする必要はない。手袋についても、ちゃんと処理すれば良い。また、例えばトイレに行った後に手を洗ったとしても、ドアノブを触ってしまえば無駄になってしまうので、本当は常に洗わなければならない。ただ、現実には不可能だ。アルコールスプレーも逼迫している状況なので、代替案としてウェットティッシュ、濡れタオル、濡れ手ぬぐいなどを3つ用意し、順番に使うなどして欲しい。食器洗いのキッチンハイターは効くが、手が荒れてしまうので、中性洗剤を混ぜるのもいい。次亜塩素酸水も効くようだが、“空間除菌”は期待しない方がいい。そういう少しの知識があれば感染を抑えていけるのではないかと思うし、8割の人が行動できれば大丈夫だ、というのが私の主張だ」。(ABEMA/『ABEMAPrime』より)
▶映像:「とっとと感染しちまえ」ツイートで話題の宮沢准教授に聞く
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