新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い先月7日に発出された全国規模での緊急事態宣言が、期限とされた今月6日を前に31日まで延長された。14日を目処に解除可能と判断されれば31日を待たずに解除する意向が示されたが、先行きは不透明だ。
この決定に伴い、経済活動への深刻な影響が懸念されている。昨年10月の台風で被災した千葉県の割烹旅館「清都」では、作業員の外出自粛によって復旧工事がストップ。従業員20人は依然として自宅待機を余儀なくされている。
国は今回のコロナ対策として中小企業助成金制度で最大200万円、その他、雇用調整助成金などいくつかの補償を打ち出している。しかし、その申請書類は40ページにもなり、簡略されたものでも10ページ以上。社労士の助けを借りなければ申請できないほど難解だという。
専務の清都俊仁さんは「色々な金融機関に融資をいただいているが、正直、そんなことしている間に何軒の会社さんが潰れてしまうのか。当社も例外ではない」と頭を抱える一方、「本当に払う金があってこの助成金を出しているのか。払う金がないからこれだけ難しい書類にして、みんなに諦めさせようとしているのかなと思ってしまう」と国に対する不信感を露わにした。
清都さんがそのように話すには理由がある。昨年、日本列島に猛威を振るった台風により、「清都」も甚大な被害を受けた。しかし、清都さんは休業補償金を国から受け取っていない。国に対して従業員の休業補償を求めたものの、被災後の廃材撤収作業が業務とみなされ「休業には当たらない(雇用には変わらない)」と国が判断。補助金を受け取ることすら叶わなかった。
仮に今回、中小企業助成金制度を活用して上限の200万円を受け取ったとしても、従業員には1人10万円しか支給できない。緊急事態宣言の延長に伴い自粛も継続される。たが、事業者に対する国の具体的な追加補償案は示されていない。
「わかっているが、生活は苦しい。夏までが限界かなと思っている。コロナが本当に見えないものだからどうしよもない。でも見えるものだったら、自らの手でどうにかしてやりたい」と、清都さんはやり場のない怒りを静かに押し殺した。
この話を聞いたお笑いコンビ・FUJIWARAの藤本敏史が「コロナで(台風被害が)上書きされるのが悲しい」と話せば、国際政治学者の舛添要一氏は「暖かくなったので集中豪雨がまたくる」と先行きを案じたうえで「仕事を休めというなら補償してくれないといけない。緊急事態宣言を1か月延長するなら、同時に2回目の10万円などを決めてすぐに配らないといけないが、とにかくやることが遅い。商売で自殺する人も出てきている。経済は壊滅的になる」と警鐘を鳴らした。
影響は多岐に及んでいる。東京渋谷で先月末をもって3店舗のライブハウスの閉店を決めた関係者は「3月末からの自粛要請で無収入が続き、通常運営の見通しも立たない今、到底維持費が追い付かない。自粛は致し方ないと協力もしたが、私たちにも生活がある。今日、今を生きる資金が必要なのです。今後も倒れる同業者が増えないよう、迅速な資金援助、対策の実行を望みます」とコメントを寄せた。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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