経済活動再開で一時は改善された大気汚染が再び… 経済を回しながら温暖化対策を実現するには?
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 新型コロナウイルスによる経済活動の停滞により、各国で改善がみられた大気汚染。中国では1月下旬からの1カ月間の二酸化炭素排出量が昨年比で25%も減少、北京では一時的に大気汚染が改善された。ところが感染拡大の収束と、それに伴う経済活動の再開により、再び汚染も進んでいるという

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 国立環境研究所・地球環境研究センターの江守正多氏は「物流は動いているが、人々が車で移動しなくなったし、飛行機の運行も減った。そして工場、火力発電所の稼働率が下がった。それにより、中国、アメリカ、ヨーロッパで大気汚染物質というのが一時的に減少し、大気汚染等の改善が見られたということだ。しかし、どの国も今のような経済状況を続けられるものではないので、排出もすぐに戻ってくるということになる。しかし、経済の“頑張り方”が間違っていると思う。環境問題を解決するような経済活動で頑張ればいい」とコメント。

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 慶應大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は「環境に負担を与えない経済活動ができない理由の一つには、既得権が残っているということがあると思う。例えばガソリンを使わない車を走らせるということは技術的に可能でも、移行するには引退しなければならない人たちがいるということではないか」と疑問を呈する。また、東洋経済の山田俊浩編集長は「コストも下がってきているのに、なぜ日本で再生可能エネルギーへの投資が進まないのかといえば、3.11後に太陽光を広めようとして頓挫してしまったトラウマから、自然エネルギーは高くつくものだというイメージが政府関係者も含め広がってしまった。しかし最新の風力発電がいかにすごいかということをもう一回学び直さないといけない」と指摘する。

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 富士山やエベレストの清掃活動にも取り組んできたアルピニストの野口健氏は「環境問題というと、日本では豪雨災害が増えているし、ヒマラヤでも氷河が融けたことによる洪水が多発しているので、やはり気候変動が最大のテーマになっているが、やはりエネルギーも大きなテーマだ。日本では原発事故の影響で温暖化対策が完全にトーンダウンしている。しかし、大きな自然災害はおそらく今年も起きる。もう一度エネルギー問題も原発の問題もタブーにせずに議論しなければならない」と話す。

 その上で「世界で最初にハイブリッドを広めたのは日本車だし、電気自動車もPHEVもそうだ。そういう意味では日本は世界に貢献してきたと思う。それをどう世界に広げるかという話だ。問題は、コストがかかるということだ。例えば原発依存を止めて地熱発電を広げようとすれば、コストがかかる。脱原発しようとしているドイツの電気代は日本に比べて圧倒的に高い。それでもドイツの人たちは脱原発をチョイスしたわけだ。日本でも、環境のためにはお金を払うという世論ができなければ、取り組みは広がっていかないと思う。ただ、エコといわれた太陽光発電をめぐっては、日本各地で問題が起きている。山や森を削ってパネルを並べたことで、住民が困り果てている。僕が心配しているのがメガソーラーで、外資が撤退する時に、設備を残したまま撤退することで、そのうちにゴミになるのではないかということだ。ドイツでは太陽光発電所を作るときに、撤去する際の費用を事前に地域の行政に払っておくという仕組みがあるので、仮にその企業が潰れても大丈夫だ。森を切ってはいけないなどの実に細かなルールがある。そういうことも含めて、果たしてそれが本当にエコなのかという問題もある」とした。

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 江守氏は「世界的には太陽光、風力発電のコストはどんどん安くなっていて、化石燃料よりも儲かるというところも出てきている。一方、日本は固定価格買い取りという、再生可能エネルギーに投資すると儲かる制度を作り、特に太陽を増やそうとした。儲かるものだから、木を切ったり、あるいは災害が起こりやすいところにメガソーラーを作って問題になっている。そのことは野口さんが仰った通りだと思う。今後は見直すルールを作り、住民としっかり話をして受け入れる形にして、再生可能エネルギーを増やしていかなければいけないと思う。今国会で審議している再エネ特別措置法の改正では、ソーラーの廃棄の積立というのが始まるので、制度を見直しつつ、再エネの主力電源化をみんなが納得する形で進めたいということで動いてはいる」と説明。

 「コロナで経済が止まればCO2排出、大気汚染が減るということ、そして、それが一時的だということが分かった。しかし、温暖化対策というのは、経済を我慢してまでやるのは難しい。やはり経済をやりながら、再生可能エネルギーに変える、電気自動車に変えるなど、システムを前向きにアップデートしていくということだと思う。それによって、温暖化問題は解決するということを理解しなければいけないと思う」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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