アメリカミネソタ州のミネアポリスで、白人警官が黒人男性の首を圧迫して死亡させた通称“I can’t breathe”事件。この事件を受けた抗議デモは全米140の都市に拡大し、40以上の都市で夜間外出禁止令が出された。
一方で、一部のデモ隊の中には暴徒化し、略奪を行う人も出てきている。トランプ大統領は日本時間の2日午前8時前、緊急会見を開き、過激な抗議活動には「必要に応じて軍も動員する考え」を示した。
今回の抗議デモは、人種差別の撤廃を訴えたキング牧師が1968年に暗殺された時の規模を超えるという。社会派ブロガー・文筆家で在米経験もあるちきりん氏は「とても憂慮すべき状況」とし、抗議デモが広がった背景として次のように推察する。
「ひとつは、動画が簡単に撮れるようになり、SNSであっという間に拡散されるようになったこと。iPhoneが出てきたのが13年前で、動画がSNSで出回るようになったのもここ5、6年ではないか。今までだと、何かあった時に警察側は『普通に職務質問をしたら激しく抵抗されたので、驚いて押さえつけた。打ち所が悪く亡くなった』というような発表をしていた。しかし、今回のように明らかに暴力だという動画が広がる時代になったことで、デモの広がりが大きくなっていると感じる。
もうひとつは、新型コロナウイルスで失業者が増えていること。アメリカでは、暴動以外にも山火事や災害が起こった時に警察の手が回らないということで、暴れるような人が出てくることがある。そうした時に、泥棒している姿が監視カメラなどに映ってしまうと、職を失うかもしれないという不安から自制する人もいるが、今回は新型コロナで数千万人が職を失っている。仕事に行くべきかデモに行くべきかという悩みがなくなった時に、デモの参加者が膨れ上がるひとつの要因になっていると思う」
アメリカ在住中、山火事が発生した時に実際に暴動を目の当たりにしたというちきりん氏。当時の状況について、「いつも買い物に行っているような道で、車がひっくり返されて火をつけられ、お店のガラスが割られて品物が盗られるのを見た。『こんなことをする人がいるんだ』と理解ができず、恐怖を感じた」と説明する。
そんな中、トランプ大統領が発した「国民に軍隊を向ける」という発言。ちきりん氏は「今までこのような問題が大きくなりかけた時、大統領は警察を諌める発言をしてきた。しかし、トランプ大統領は暴徒をどう抑えるかという方向ばかりから話をしていて、皆んな騒動を収めるきっかけを掴めなくなってしまっていると思う。米大統領選で自身に有利に働くと思っての発言だとしたら、ここが一番憂慮すべき点だと思う」と危惧した。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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