「人生の闘い。生き様を見てほしい」齋藤彰俊、GHC王座挑戦への決意と覚悟
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(反選手会同盟の旗とともに)

 空手衣を着た齋藤彰俊が、リング上で挑戦状を読み上げた。かつてと同じ光景に、不退転の決意が表れていた。

 1992年、所属する誠心会館と新日本プロレスの遺恨が勃発。齋藤は東京ドーム大会のリングに上がり、挑戦状を読み上げている。これがプロレスラー・齋藤彰俊の新たなスタートになった。

 今回はノアマットでそれと同じことをしたのだ。目の前にいたのはGHCヘビー級王者の潮崎豪。齋藤にとって久々の王座挑戦は6月14日配信の大会で組まれている。

「挑戦状を書いてリングで読むという行為には、神聖な意味がある。決意、覚悟を込めてます。そういう意味で前回、挑戦状を書いた時と気持ちは変わらない。これが最大限の思い、最大限の敬意です」

 挑戦表明の直後にインタビューすると、齋藤はそう答えた。6月14日、三沢光晴さんの命日の翌日ということにも意味がある。しかも相手は潮崎だ。齋藤は“三沢光晴最後の対戦相手”であり、潮崎は“三沢光晴最後のタッグパートナー”。6月14日は潮崎がGHCヘビー級初戴冠を果たした日でもある。まさに運命の闘いだ。

「今回なぜ挑戦したかといえば、チャンピオンがシオだから。潮崎豪だから挑戦したんです。潮崎はいろんなものを持っている。でも持ってないものもある。それは俺しかもってないもの」

 潮崎がベルトを巻いたことで、齋藤も触発されるものがあったということだろう。現在のチャンピオンを、齋藤はこう評している。

「最近は重み、責任感が出てきたように感じる。ノアを背負う重みがある。若い頃とは違う」

 そういうチャンピオンだから、久々の王座挑戦をアピールしたのだ。井上雅央と「反選手会同盟」を結成、自分たちなりのやり方でノアマットを揺さぶっていこうという思いもある。

「今まで、どこか一歩引いている部分がありましたね。ノアのために何ができるか、という考えだった。だけど体調が悪いわけではなく、気持ちが萎えたわけでもない。今ノアは新しくなっているけど、古きを知った上で新しくなったほうがいい。そういう意味では、(王座挑戦は)これ以上遅くてもダメだなと」

 無観客試合が続く中で、齋藤も試合間隔があいている。潮崎も短期間ながら欠場し、今回が復帰戦だ。だが齋藤は「だから面白い」という。なぜなら「お互いの“地の力”が出る」からだ。

 反選手会同盟として、ファンに伝えたいメッセージもある。

「俺はまだまだいけると思っても、周りの環境だったりであきらめてる人間も多いと思う。だけど人に評価されなくても、可能性というのはまず自分自身が信じなきゃいけない。反選手会同盟も、ここまで大きな動きがなくてのんびりしているように見えたかもしれない。けど、水面下ではもの凄くあがいてます。白鳥と同じ。こういう時期に一つ見せてやろうというのもある」

 身長や体重、タイトル歴といった「スペック」は目に見える。しかし底力や潜在能力は見えないものだ。だが評価されないからそのまま埋もれていいわけではない。そう齋藤は考えている。

「どんな仕事でも“お前は力があるから上に行け”なんて誰も言ってくれないですから」

 ベテランになったが、衰えたつもりもない。

「何が進化してるんだといったら気持ちの部分ですよ。修羅場をくぐって日々クリアしてますから。そして覚悟が違う」

 無観客試合であることについても、齋藤は前向きだ。

「画面越しということは、見ている人は全員が最前列。全員が一番近い距離で試合を見られる。画面越しだけどすぐそこにいるわけですよね。だから画面越しでも聴こえるくらい応援してほしいです。自分も試合で返します」

 この試合で何を見せたいか、それは齋藤彰俊という男の生き様だ。

「これは人生の闘い。生き様を見てほしいです。熱い生き様を見せるので、どちらの応援でもいいから熱く見てほしい」

 強豪ひしめくノアのリング。しかし今、GHCヘビー級王者・潮崎豪に挑戦するのに最もふさわしい選手は、やはり齋藤彰俊なのだ。

文/橋本宗洋

【視聴予約】14日19時から放送「NOAH ”GOFORWARD Day1”」 |
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