「持続化給付金」の事業を国から委託され、そのほとんどを電通に再委託していた一般社団法人サービスデザイン推進協議会をめぐり、新たな疑惑が浮上した。
同事業を所管する経済産業省・中小企業庁の前田長官が2017年、当時電通の社員だった協議会の業務執行理事・平川健司氏と接触していたと『週刊文春』が報じた。給付金事業の裏には、経産省と協議会の癒着が元々あったのではないかという疑惑だ。朝日新聞によると、前田長官は2015年から大臣官房審議官として、のちの協議会と関わるサービス業を所管する商務情報政策局を担当。前田氏と平川氏が交流を始めたのはその前からだったという。
平川氏ら電通が2016年に設立したサービスデザイン推進協議会は、経産省の事業を次々と引き受け、これまでに14件およそ1576億円を請け負い、その5割が電通などに再委託されているという。野党は、経産省と協議会が癒着し、そのキーマンが前田氏だったとの見方を強めている。
2017年、前田長官はアメリカ・テキサスで開かれたイベントに合わせて、会場に近くに部屋を借り「前田ハウス」と称してパーティーを開催していたという。ここに平川氏も同席していたことから、少なくともこの時から癒着が始まっていたのではないかと指摘されている。前田長官は平川氏との接触を認めたが、「便宜を図ったことはない」と疑惑を否定した。
サービスデザイン推進協議会をめぐる疑惑について、ノンフィクションライターの石戸諭氏は「この話は透明性の問題だと思う。なぜこの協議会で、どういう目的で事業を発注したのか。『仲が良かったからではないか』という疑惑に対して、解明していく姿勢は絶対に必要だろう」と話す。
協議会に対しては「実体が不透明だ」という疑念もあるが、石戸氏は「よくわからないのがもっともではないか。2016年の設立後、いきなり大きな事業を引き受けていて、それを電通などに再委託している。実態があるかどうかもかなり重要な問題」と指摘。また、持続化給付金は多くの人が期待している事業だとした上で、「それをやるのが一体どういう団体なのかとこれだけ指摘されているとなると、業務を遂行うえでここが適切だったのかという疑問は当然出てくる」とした。
持続化給付金を初日の5月1日に申請した人のうち、11日までに5000件の未支給があるなど作業の遅れも指摘されている。石戸氏は「フリーランスが枠の中に入ったことは評価しているし、申請方法に関しても比較的簡易でやりやすい制度になっている。(申請側に)書類の不備はあったのかもしれないが、出ていくお金に対してきちんと早く手当てするというのが、この持続化給付金なり融資の目的のはず。スピード感を重視していたはずなのにできていないとなると、なぜなのかという話になる」と疑問を呈した。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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