「感染させない努力を文化に」集団感染リスク抱える“夜の街”、新宿・歌舞伎町対策を吉住健一区長に聞く
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 12日から「ロードマップ」のステップ3に移行した東京都。カラオケ、接客を伴わないバーやスナック、ネットカフェ、ストリップ劇場、のぞき劇場、アダルトショップ、マージャン店、パチンコ屋、ゲームセンター、遊園地などの業種で営業自粛要請が解除され、19日以降はキャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、ライブハウス、個室付浴場業に係る公衆浴場、性風俗店(デリヘル含む)など全業種・営業時間の制限が解除される見通しだ。

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 そんな中、感染源として名指しされているのが“夜の街”の象徴、歌舞伎町だ。12日の『ABEMA Prime』では、そんな歌舞伎町エリアを抱える新宿区の吉住健一区長に話を聞いた。

■休業要請を守らない性風俗店はどうする?

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 新宿生まれ新宿育ち、街の消防団員も担う吉住区長は、「新宿」や「歌舞伎町」が象徴的に取り上げられていることについて、「子どもの頃からこの街にいるので、それが新宿の姿だと思っている」とした上で、「感染を拡大させないためにも、まずどこからうつったのか、誰にうつしてしまったかの調査を徹底し、それらを正確に把握できるよう、力を入れてやっていかなければいけないと感じている。それぞれの業態の皆さんにお話を聞いていて、いくつかの店舗では利用された方々に連絡をとり、私たちが検査できるようにしてくれている。もし陽性だった場合、お住まいの地域の保健所の方に引き継ぎをして、治療を受けられるよう取り組んでいる」と話す。

 2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏は「“経路不明”とされている人には“自分からは言えない”という可能性があり、実は性風俗に行っていたかもしれない。一方、自粛要請を守らない店は接触感染するかもしれないことを自覚しながら、それでもお金のためだと営業を続けている。ここはお願いレベルではなく、保健所や消防署がルールを破ったということで営業禁止にしたほうが良いのではないか。この先一年以内にコロナが収まる可能性はほぼ無いと思うし、この状態のまま営業を続けるくらいなら、諦めて清算してもらったほうが安全だ。援助交際などについては各都道府県の条例レベルで禁止したり、捕まえたりすることができていると思う」と持論を展開する。

 これに対し吉住区長は「お店の前で“この状態でも行くのか”とインタビューを受けた方が“うつってもいいと思っている。私はこれが好きだから”と入っていく様子が放送されていた。これを止めるのはなかなか大変だ。ただ、区や保健所、消防署はそうした権限は持っていないと考えていただきたい。援助交際についても、まず売春禁止法や国の規制があり、その上で“うちの県はこの年齢は対象にする”といったことを各自治体が決めていく形だ。法律で罰則がないような時に都や区ができるのは、せいぜい同じ行為を繰り返したら名前を公表するといった程度だ。やはり基本的には法律の枠組みがあった上で、そこに上乗せする形で東京都として基準を作るということになると思うし、都条例や区条例がそうした法律を超えて罰したり、禁止したりすることはできない仕組みになっている」と説明。

 「今、国が専門家と一緒にガイドラインを作っているが、それを守ってもらわなくては意味がないし、都も区も作って、それぞれが微妙に違うということになると、どれを信じたらいいのかということになる。そこは統一的な見解が保てるようなガイドラインを作り、さらに細かいところを決めるときには当事者のみなさんにも参画してもらおうとしている。実際、私たちが作ったチェックリストを、ホストクラブの皆さんとやった勉強会の時に見てもらい、“うちの店ではこういう対策をとっている”といった情報もいただいた。そのようにして、“自分たちが作ったんだから守ろう”というふうにしていきたいし、まず歌舞伎町、あるいは新宿として、お客さんに感染させない努力をしているというのが街の文化として定着していくようやっていくしかない」。

■歌舞伎町の特殊性も…「ガールズバー」をどうする?

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 過去に歌舞伎町で飲食店に携わった経験があるという若新雄純・慶應義塾大学特任准教授は「歌舞伎町には“流し”のようなバーテンダーがいるし、納税もしていなければ、保険証を持ってない人もいる。家賃を払えないからと“又貸し”でお店をやっている人もいる。そうなると個人情報や契約関係も追いきれないし、通達などを出そうとしても難しい。やはり歌舞伎町の独特のルール作りみたいなことをしなければならないのではないか。地方の繁華街であれば商工会議所や青年会議所を通して経営者や地元の政治家が連携することもできると思うが、新宿区、歌舞伎町の場合は特殊だと思う。区長としても、今までは対立というか、監視する立場だったところが、今回は急に手を繋がないといけないと思う」と指摘する。

 これに対し吉住区長は苦笑しつつ「ある意味で、経営者の善意に頼っているところはある。今のところはホストクラブを中心にやり取りしていて、最初に2日間にわたって30人くらいのホストと面談し、行政機関と情報共有することにどのようなリスクを感じているか、それをクリアするために私たちは何をしたらいいのかを議論した。そうしたところから横の繋がりの中で広げていただき、集団感染の可能性を見つけた場合には隠さずに店舗全員に検査を受けてもらうといった仕組みもできてきた。彼らの横の繋がりは非常に強くできていて、私と話し合ったことはそのまま共有して結構だと話をして、すぐにLINEで流してもらった。そういう中で9~10人の感染者が出てきたので、まずはクラスターを止めていくということをやっている」と明かす。

 「歌舞伎町が衰退した時代、“歌舞伎町ルネッサンス推進協議会”を作り、街を再生するための取り組みを官民でやってきた。振興組合の中もホストクラブの人がいたり、社交飲食業組合の中にもキャバクラの人やクラブの人がいたりするし、お互いに顔の見える関係はできてきている。ただ、みんなと繋がっているかといえば決してそうではないし、むしろ私たちと接点を持たないようにやっている人たちもいる。権限があるわけではないが、彼らをどう引き出すかが問題だ。例えば国と話をした時にも、新しい形態で、法的にも微妙な扱いになっているガールズバーをどのように把握するかという話になった。そこで社交飲食業やホストクラブの皆さんに協力してもらって、まずは何店舗あるのか、情報共有しながらやっている。やはり正直に言ったばかりに廃業に追い込まれるということは防がなければいけない。そういう信頼関係を作ることが大切だと、最初にかなり言われた。私たちは皆さんのプライバシーを守るから、みなさんはスタッフやお客さんにうつすことは全力で防いでいきたいということで、だんだん分かり合えていった。国としても、“新宿での独自の取り組みの中で成功例が出てきたら、それを全国の繁華街でも使ってみたい”という話にもなっている」。

■区内在住の感染者に10万円の見舞金支給も

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 国の持続化給付金(最大200万円)、家賃支援給付金(最大600万円)、雇用調整助成金(1日上限1.5万円/1カ月33万円)に加え、都では独自に接待を伴う飲食業の補償について「感染拡大防止協力金」として最大100万円を給付。現在、2度目の給付も行われる見通しだ。また、新宿区では在住の新型コロナウイルス感染者を対象に1人当たり10万円の見舞金を支給する(11日までの区の感染者は累計472人)。

 吉住区長は「感染した場合、国民健康保険に入っている方の場合はそこから給付される仕組みになっているが、個人事業主の方の場合は対象になってないという課題もある。また、自分が倒れたら家族を食べさせられない、自分が隔離されたら子育てできないなど、いろんな課題を抱えている人がいる2週間の隔離の間の療養費は公費が出るので、だいたい月に20万円で暮らしが成り立つとすれば、残りの半月で10万かなという見当だ。区内には多くの医療施設があり、公務員の方も住んでいるので、ダイヤモンド・プリンセス以来、様々な事情で感染された方がいる。今回の措置はいわゆる繁華街で働いている人だけを対象としたものではなく、1月以降に感染した人の全てに給付するというものだ」と説明。

 「今回、品川区が全世帯全員に3万円を配ることを発表したが、その財源は財政調整基金といって、区民が払った税金を節約して残ったものを貯めたもの。おそらく日本中の繁華街や都市部を抱えているところは同じ悩みを持っていると思うが、新宿区の場合も新宿駅周辺、歌舞伎町を中心とした繁華街イコール新宿と見られがちだが、区内には35万人が住んでいるし、団地も住宅地も緑地もある。実際にはいろんな所得階層の方がいるし、いわゆる豊かな潤沢な自治体というわけではない」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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