「立て!」潰し合い、鼓舞し合う男たちの“音”の闘い 潮崎豪vs齋藤彰俊は大激闘
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(三沢の必殺技エメラルド・フロウジョンを繰りだした潮崎)

 6月14日、ノアの無観客大会で配信された。8試合で4時間越えの長丁場、そのメインは潮崎豪vs齋藤彰俊のGHCヘビー級選手権試合だ。

 この6月14日は、ノア創始者・三沢光晴さんの命日の翌日にあたる。また潮崎がGHCヘビー初戴冠を果たした日でもある。「なぜ挑戦したのか。それはチャンピオンがシオだから」と齋藤。潮崎は「自分たちにしかできない試合がある」と言った。潮崎は三沢光晴最後のタッグパートナーであり、斉藤は最後の対戦相手だった。まさに運命のタイトルマッチだ。

【映像】三沢の必殺技を繰り出した潮崎

 タイトル挑戦は久々の齋藤だが、特別な上にも特別な大一番に気合いは充分すぎるほど。ラリアットとチョップへの対策として右腕を徹底的に攻め、エプロンの潮崎をフロアにジャーマンで叩きつけるという荒技も。得意技スイクルデス(後頭部へのジャンピングキック)も重い。

 齋藤は潮崎が倒れるたびに「立て!」と叫んだ。潰しにいくような試合をしながら、しかし相手を鼓舞する。そこに2人ならではの関係性が感じられた。齋藤は“三沢光晴最後の試合”でタッグを組んだバイソン・スミスの得意技アイアンクロー・スラムを繰り出すと、人差し指を天に掲げてからバックドロップ。三沢が最後に食らった技である。

 相当な覚悟を持って出したであろうこのバックドロップを、潮崎は耐えてみせた。右腕を傷めつけられながら、随所でチョップ。その凄まじい打撃音は、無観客の会場に大きく響き渡る。選手の声や技の音がよく聞こえる無観客試合だからこそ伝わってくるエモーションが、この試合にはあった。

 齋藤が放った追撃のスイクルデスを、潮崎はエルボーで撃墜。そこからエルボー連打、ローリングエルボー。これが“三沢の技”であることは、プロレスファンなら誰でも知っている。さらにチャンピオンは三沢の最大の必殺技であるエメラルド・フロウジョンも。

 ここで潮崎も齋藤に「立て!」。そして渾身の豪腕ラリアットを叩き込み、3カウントを奪った。死力を尽くした闘いであり、また互いの感情をすべてぶつけ合う闘いでもあった。

「ありがとう、シオ!」

 試合後、先にマイクを握った齋藤は涙を見せた。「負けたけど、俺は次に進むよ」とも。これが終わりではない。次に進むために、この“過去を背負った試合”が必要だったのだ。

 勝った潮崎は、以前よりもチャンピオンとしてのスケールがはるかに増したように見える。魂のこもった齋藤の攻撃を受け止め、魂を返して仕留める闘いは、まさにノアのプロレスだった。

「齋藤さん、この日にあなたとベルトをかけて闘えたことを誇りに思います」と潮崎。インタビュースペースでは「(チャンピオンベルトが)齋藤彰俊と闘ったからこその輝きを持てたと思う」という言葉もあった。

 中継の最後には、有観客興行再開の発表があった。舞台は7月18日、後楽園ホールだ。

「ベルトを守って、笑顔でみんなに会いたい」(潮崎)

 ノアは緊急事態下でも動きを止めず、潮崎は2度の防衛に成功している。有観客試合再開は“元に戻る”のではなく、新たなステップに進む闘いになる。

文/橋本宗洋

写真/プロレスリング・ノア

【映像】三沢の必殺技を繰り出した潮崎

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