「藤田社長とはお会いしたこともないのに…」悪質なデマや誹謗中傷に悩まされた倉持由香、それでも「実名化には反対」
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 木村花さんが亡くなったことを受け、改めて浮き彫りになったSNS上の誹謗中傷の問題。その後も著名であるか否かに関わらず、被害を受ける人は後をたたない。

・【映像】倉持由香がSNS被害を告白 "批判と誹謗中傷"の境界線とは?

 そんな中、誹謗中傷や悪質なデマに悩まされ、通院もしていた過去を告白したのがタレントの倉持由香だ。

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 「3年ほど前、AbemaTVでレギュラー番組があり、週に3~4回出させていただいていた。そのことに対して、“よく出るということは藤田社長の愛人だから”というようなことを書かれたり、“枕営業ブス死ね”“藤田と寝てるからって”というような書き込みで番組のコメント欄が埋まったりしていた。もちろん藤田社長とはプライベートでお会いしたこともなければ、連絡先も知らない。中には“グラドルの友達に売春を斡旋して、その紹介料で稼いでいる”というようなことまで書かれた。1年くらい前からは自分の連載やTwitterでもやめるよう定期的に発信していたが、証明ができないからと、反論しても信じてもらえなかった」。

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 また、「無視すればいい」というアドバイスに対しては「“ミュートしたらいいよ。スルーしたらいいよ”って、悪気なくおっしゃってくれているのだとは思う。ただ、追い詰められている状況では、“ミュートしないお前が悪い”と責められているような感覚になってしまう」と話し、「発信者情報開示請求について知り合いの弁護士の方に相談しているが、やはり1回あたり費用が50~80万円、期間も半年~1年くらいかかってしまう。お金があるならデマを流した人全員に対してやりたいくらいの怒りもあるが、現実的には不可能なので、特に許せない何人か、あるいは数件を選んで対処していこうと考えている」と話した。

■侮辱罪の刑罰の見直しを

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 ネットの誹謗中傷に関する議論の高まりを受け、自民党のプロジェクトチームで発信者情報開示請求の要件緩和や厳罰化、さらに学校教育での取り組み、相談窓口の体制強化などを盛り込んだ提言案をまとめ、政府に申し入れをしている。事務局長を務める国光あやの衆議院議員は「私はもともと医師で、倉持さんのように被害に苦しむ方を診療していたこともあるし、中には自殺されてしまった方もいた。表現の自由はとても大事だが、あまりに無法地帯になり過ぎているので、ここは国としてもなんとかすべきだという国会議員が増えてきた」と話す。

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 「倉持さんが仰っていたように、今はとても負担が大きく、時間がかかり過ぎるので、要件を緩和していく。また、侮辱罪は刑罰が非常に軽く、30日未満の拘留か1万円未満の科料。しかも公訴時効がたったの1年。このあたりの、明治時代から変わっていない部分を見直していくことも含めている。さらに捜査の強化、学校教育、相談窓口の強化だ。どこに行ってもなかなか話を聞いてもらえないということを経験されている被害者の方がいる。何がアウトなのかが曖昧模糊としているために泣き寝入りしている被害者の方もたくさんいらっしゃるので、分野ごとにガイドラインを作っていくことも求めている」。

■難しい誹謗中傷と批判の線引き

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 それでも懸念されるのが、誹謗中傷と批判の線引きの問題だ。規制強化の動きに対し、ネット上には「どこからが違法か誰がどう決めるのか?」「公人や大企業による開示請求の乱用が怖い」「表現の自由が脅かされる」「人の死で批判抑え込む政権」「国民から政治のことを語る自由まで奪うの?」といった声が上がっている。

 「先日、“私を攻撃するみなさんへ。法的対処を今後はしますのでよろしく”というツイートをしたところ、粘着されているユーザーからの投稿がピタっと止んだ」と話すジャーナリストの佐々木俊尚氏は「ガイドラインは結構難しいと思う。例えばアメリカの抗議行動について“さすがに暴動や略奪までいくのは行き過ぎだろう”と言う投稿に対して、“黒人の気持ちを分かっていないお前はクズだ。死ね”などと書けば、それも誹謗中傷になるが、木村花さんを中傷していた人たちに対して“お前らクズだ。死ね”と言えば、それも誹謗中傷になる。またひとつひとつは直接的な表現ではなくても、強い言葉を使った投稿が100件くらいくると、ものすごくメンタルをやられる。つまり、誹謗中傷のガイドラインには当たらなくても、ひどい目に遭っているという状況が生まれるということだ。かといって、スラップ訴訟のようにして真っ当な批判に対しても開示請求をする人が出てくるのではないかと心配がある」と懸念を示した。

 国光氏は「提言で盛り込んだのは、そこをなるべく裁判所が法に基づいて客観的に判断をするということだ。それによって時間的、経済的コストを下げて対応するということを盛り込んでいる」と答えた。

■「匿名が悪いわけではなくて、誹謗中傷をしてしまうのがいけない」

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 SNSの事業者各社も対策に乗り出している。先月26日、TwitterやFacebook、LINEなどのネット事業者らが共同で設立した業界団体が、木村花さんの死を受けて「名誉棄損や侮辱などの投稿を禁止に。禁止行為を把握した場合、全部または一部のサービス利用の停止措置を徹底する」との緊急声明を発表した。さらに、それぞれの事業者も独自に対策を講じている。例えば、Twitterは削除要請後、読み取り専用モードにし、違反を続けた場合アカウントを永久凍結する。Facebookは警告、違反を続けた場合は投稿機能の制限やアカウントの停止を行う。

 倉持は「何もないよりはSNS事業者にやっていただいた方が抑止力にもなる。ただ、匿名のアカウントをなくして実名化にしようという意見には反対。匿名だからこそ相談ができて、助かっている方も多い。匿名が悪いわけではなくて、誹謗中傷をしてしまうのがいけない」と話す。

 国光氏も「おっしゃる通り、匿名は大事な権利だと思う。ただ、行き過ぎた部分があれば、それは法的にもしっかり対処していく。それが結果的に抑止力に繋がっていくということがとても大事だと思う。そして、議論にあった政治などへの意見や批判などについて、今回もそれを危惧する声もたくさんいただいた。今回の提言にははっきり書いている。“あくまで個人への誹謗中傷。政治への意見や批判はどうぞ”と。たくさん物申したい方もいらっしゃると思うので、そこはしっかり切り分けている」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:倉持由香がSNS被害を告白 "批判と誹謗中傷"の境界線とは?

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