Mリーグ2019 朝日新聞ファイナルシリーズ6月22日の2回戦で、“天才”と称されるセガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)がついに覚醒。Mリーグ初制覇に王手をかける貴重な勝利を手繰り寄せた。
対局者は起家からU-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)、KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)、茅森、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)。
昨期は打点王にも輝いた茅森だったが、今期はレギュラーシーズン29人中24位。セミファイナルでも22人中最下位と苦しみ抜き、不振から抜け出せないままファイナルステージを迎えていた。
浮上のきっかけをつかむべく、ファイナル初戦を託されたものの結果は3着。しかし魚谷侑未(連盟)、近藤誠一(最高位戦)、和久津晶(連盟)という心強いチームメイトたちに引っ張られるかのように、天才がその輝きを取り戻した。
東1局、赤・ドラ3を手牌に組み込んだ先制リーチを放った茅森は、多井から同順に追っかけリーチを喰らって1万2000点を放銃というビハインドからスタートした。だが東4局3本場、チンイツで8000点(+900点、供託3000点)をアガって息を吹き返すと、南2局4本場で8000点(+1200点)、南3局1本場では7700点(+300点、供託1000点)とチャンスを確実にものにしてトップ目に立った。
そしてオーラスとなった南4局1本場。10巡目に1万3400点持ちのラス目だった朝倉から先制リーチが入った。3万9100点持ちのトップ目だった茅森は、朝倉に満貫放銃までならトップを死守できる状況だったが、2着目だった親番・多井も猛然と攻め込んで来たことを見て、朝倉と多井に共通する安全牌が無かったことで13巡目に長考に入った。
解説の渋川難波(協会)から「茅森さんは見守るしかないんじゃかな。(朝倉に)打ちにいって跳満だったら」とトップ目から3着に落ちてしまう可能性もあることを指摘されていたが、茅森は後退しなかった。
多井の親番が続くよりも朝倉への満貫放銃にかけてトップを確定させることを決断すると、自身の読みに願いを込めて、多井が切っていた三万を打牌。この選択が願い通りに朝倉への満貫放銃となり、差し込みという形で試合を終わらせることに成功した。この肝の据わった一打には「まさに天才だった」「俺はこんな勇気ない!」「度胸あるな」とファンも驚嘆した。
勝利者インタビューでは「シーズン通してずっと良くなかったので、ここの場面でトップを取れたことはすごく嬉しい」とクールな表情を少しだけ和らげて「必ず優勝する」と誓った。
2時間超にもおよんだ手に汗握る全17局のうち、流局は9回。我慢に我慢を重ねて来た天才がつかんだファイナル初勝利で、2位の渋谷ABEMASとは86.1ポイント差。栄光への架け橋が、明確に見えてきた。【福山純生(雀聖アワー)】
【2回戦結果】
1位 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)3万800点/+50.8
2位 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)2万8700点/+8.7
3位 U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)2万2700点/▲17.3
4位 KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)1万7800点/▲42.2
【6月22日終了時点の成績】
1位 セガサミーフェニックス +232.9(10/12)
2位 渋谷ABEMAS +146.8(10/12)
3位 U-NEXT Pirates +108.7(10/12)
4位 KADOKAWAサクラナイツ ▲229.7(10/12)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)






