長い航海、その最後を託された船長が、務めを果たした。Mリーグ2019 朝日新聞ファイナルシリーズ・6月23日の第2試合で、U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)がセガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)との着順勝負を制し、ファイナル2勝目を挙げた。この結果により、U-NEXT Piratesはリーグ初優勝となった。
この試合の対局者は起家から、KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)、魚谷、小林の並びでスタート。
多井、魚谷がそれぞれ加点しリードを競う展開で、小林にチャンスが訪れたのは東3局1本場。多井が先制リーチをかけるが、小林も赤が1枚あり追っかけリーチを狙える手。6筒単騎でテンパイし、手変わりを待っているとこの待ちのままツモアガリ、2000点(+300点)を獲得した。
そして展開を大きく変えたのは南1局2本場。トップ目の魚谷が2000点の供託を回収すべくタンヤオで仕掛けると、小林はドラの南待ちで七対子をテンパイ。魚谷がこれを掴み、ノータイムでツモ切った。これで小林は8000点(+600点、供託2000点)のアガリとなって逆転、トップ目に立った。
小林は南2局、親の多井から2600点をアガり、南3局は魚谷にテンパイを入れさせず守り切って流局。これでオーラス、事実上ライバルは魚谷のみ(多井は役満条件)となった。
ラス親で伏せればいい小林。これに対し魚谷が狙うのは、赤牌があるルールでも非常に困難とされる跳満ツモでの逆転劇。しかし今期レギュラーシーズンMVPの魚谷、執念の手作りとツモで6巡目に跳満含みの逆転リーチまで漕ぎ付けた。
小林はこれを受けて必死にオリる。決着はハイテイ前に訪れた。魚谷が待つ牌は全て他家に回収され、小林の手に安全牌が足りた時点で勝負あり、パイレーツの優勝が確定した。
インタビューはチームメイト4人で揃って対応した。まず小林は「2年間厳しい戦いでしたが、ようやく勝つところが見せられて良かったと思います」と笑顔を見せた。また朝倉康心(最高位戦)は「先日、自分のミスで今日の条件が厳しくなってしまった。ほんとに、力強い先輩に囲まれて…」とその後は言葉にならなかった。
この日、1回戦トップの石橋伸洋(最高位戦)は「最後、(魚谷の当たり牌の)發打っちゃうんじゃないかと思いましたが、ここまで来たら必ず勝つと思っていました」と一言。優勝直後から号泣していた瑞原明奈(最高位戦)は「魚谷さんがツモるたびに息ができなかったです。レギュラーシーズンはミスも多くて、僅差で優勝を逃したら、自分を許せなくなりそうでした」とチームへの思いや責任感を感じさせるコメント。
仲間の声を聞いて小林は「たまたま僕が勝つ役をもらったということで、みんなで勉強会をやって、新しい知識を取り入れて勝つことができました。Mリーグ優勝者として、今後も精進していきたいと思います」と深々と頭を下げた。
【2回戦結果】
1着 U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)4万200点/+61.2
2着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟) 2万9600点/+9.6
3着 KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)1万9100点/▲20.9
4着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)1万100点/▲49.9
【最終成績】
1位 U-NEXT Pirates +244.7(12/12)
2位 セガサミーフェニックス +185.1(12/12)
3位 渋谷ABEMAS +78.0(12/12)
4位 KADOKAWAサクラナイツ ▲249.1(12/12)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)








