将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Dリーグ第3試合、AbemaドリームチームVSチーム広瀬が6月27日に放送され、先鋒戦でチーム広瀬・青嶋未来五段(25)が、Abemaドリームチーム・三枚堂達也七段(26)との三番勝負に2勝1敗で勝ち越し、+1ポイントを獲得し、チームを決勝トーナメントに導いた。
引き出しフルオープンでの総力戦だった。第1試合では大将を任されたものの、負け越しでチームに貢献できなかった青嶋五段が、あの手この手を繰り出した。もともと居飛車、振り飛車を使いこなすオールラウンダー。持ち時間が短い本棋戦において、事前の対策がしにくい曲者の一人だった。第1局は先手番で矢倉を採用。三枚堂七段の攻めを受け止める作戦に出たが、うまくいかなかった。
「このままでは見せ場がない」と後がなくなった第2局で、得意戦型の四間飛車を用いると、「中盤ずっと悪い」と感じたことから、終盤に千日手含むの粘りを見せた。これを三枚堂七段が打開したものの、これが裏目に。穴熊の固さも活かして競り勝った。
引き出しはまだある。チームリーダー広瀬章人八段(33)から「準エースですね」と言われた先手の中飛車からの第3局を指し進めたが、思わぬ指し手の連発に、解説を務めていた橋本崇載八段(37)は「鬼殺しみたいな手ですね。これ、もう町道場の将棋ですよ。ちょっとハメ手っぽい」と大笑いするほど。どっしりした矢倉から、振り飛車の奇襲まで、豊富な知識と指しこなすセンスを兼ね備えた者だけができる芸当に、視聴者も大いに沸いた。
青嶋五段の勝ち越しにより、チームは決勝トーナメント進出が決定。「最初負けた時は、連敗したらどうしようと結構後ろ向きな気持ちもあったんですけど、なんとか切り替えました。チームに貢献できてよかったです」と、ホッとしたのかようやく笑みが見えた。チェスでも日本王者の“二刀流”でもある青嶋五段。次の戦いで見せる技は、果たしてどんなものか。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)