地球温暖化への対応が求められる中、政府は今後10年の間に二酸化炭素を多く出す「石炭火力発電所」の9割近くの使用をやめる方針を固めた。
国内の石炭火力発電所は140基あるが、そのうち114基が二酸化炭素を多く出し「非効率」とされている。ヨーロッパを中心に石炭火力への批判は強く、政府は電力各社に非効率な発電を段階的に抑えるよう求め、2030年度までに100基程度を休止や廃止したい考えだ。
以前から石炭火力発電について警鐘を鳴らしてきた専門家は、この方針について次のように評価する。
「日本に現在、140基という規模の石炭火力発電所がある。このうち特に古くて効率の悪いものを100基休廃止するということは、地球温暖化防止のために石炭火力発電所を速やかに減らしていかなければいけない要請がある中で、政府としてこれまで手を付けなかった石炭火力発電の問題に向き合った新しい動きだとみている」(気候ネットーワーク・平田仁子理事)
政府は今後、旧型の非効率な発電所の数を減らし、新型で発電効率の高い発電所基を維持・拡大するとしているが、果たして二酸化炭素の排出は抑えられるのか。
「非効率だという古いタイプの発電システムよりだいぶ効率は上がっているが、高効率といっても10%程度CO2の排出量が減るというレベル。例えば、1kw/hあたりの電気を作るのに、古いものは800gのCO2を出していたけど、高効率のものは700gになるというものであって、結局多くのCO2を出すことには変わらない。古いものを閉じるのはもはや当たり前だが、新しいものを2030年以降も動かしていいかというと、実は気候変動の取り組みに照らすと容認できない、CO2をたくさん出す技術であることに違いはない」(同)
2015年に採択されたパリ協定では、参加国が5年ごとに削減目標を提出・更新することになっているが、国際社会からは日本の目標に対し引き上げを求める声も上がっている。日本はなぜ後手を踏んでしまっているのか。
「やはりひとつは、気候変動問題に対する危機感の薄さがあると思う。政治課題として優先する声はなかなか政府から聞こえてこないところがある」(同)
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