4月10日東京両国国技館で開催された新日本プロレス『INVASION ATTACK 2016』のメインIWGPヘビー級選手権、王者オカダ・カズチカ対内藤哲也は、内藤が激戦を制しオカダのレインメーカーをかわしディスティーノで仕留めるという劇的な幕切れで勝利、王座を奪取した。
試合当初からロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのBUSHIとEVILが試合に介入。さらに試合の重要な局面でマスク姿で現れた新たなパレハ(メンバー)が登場し試合をかき回す、マスクを取るとTNAや大日本などに出場しているフリーの真田聖也。真田のムーンサルトを浴びたオカダは、内藤のエルボー~延髄斬り、オカダのジャーマンからレインメーカーという流れを内藤が断ち切りディスティーノを決め3カウント。
内藤待望の王座初戴冠という表現はやや語弊があるセコンドの度重なる介入による後味の悪い幕切れも観客は明らかに内藤支持のコールが大多数。ロス・インゴのメンバーに試合後に痛めつけられるオカダ救出に向かった石井智宏にも容赦無い「帰れ」コールが浴びせられた。
手段を選ばずタイトルを強奪したロス・インゴと内藤への観客の支持には、このところのオーナーサイドのCHAOS寄りと取られる動きもあるだろう。木谷高明オーナーが掲げた「オカダ2億円スター化計画」に当初から不快感を示していた内藤は「この会場の雰囲気、この声援、あなたの耳にしっかり届いていますか?新日本プロレスワールドをご覧の木谷オーナー。あなたの宣言通り、2億円プロジェクトで(俺に敗れた)オカダをスターにしてあげてください。俺にはそんなプロジェクト必要ないんで。我々ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンが、新日本プロレスを応援して下さる皆様に、新たな景色をこれからお見せしたいと思います」とベルトを放り投げてリングを後にした。
当初試合解説の蝶野正洋も「チャンピオンの品格」「過去のこれだけ荒れた試合はない」「こういう(タイトル)移動は選手が納得いかない」「選手側が 観客が支持するのは納得行かない」と試合の内容および結果について異論を唱えていたが、余りにも熱狂的な観客のロス・インゴ支持という天変地異に最後は「内藤選手はベルトは後からついてくるもので、(会場の)場と空気をどれだけ支配するか(にこだわっているのでは)」「彼はやりたいことをやって客を掴んでいる」と総括。
試合後の会見でも内藤哲也は、「リングに捨てて来たのにIWGPのベルトから歩み寄ってきたよ」「今新日本で一番おいしいのはどのタイトルじゃない。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン内藤だ」と宣言。今後のシリーズは絡むとおいしい「制御不能」な男、内藤中心に回って行くことになりそうだ。