五月場所が中止となり4カ月ぶりの本場所となった七月場所初日の幕内は最初の取組から5番連続で佐渡ヶ嶽部屋の力士が登場した。最初に土俵に上がった琴勇輝は再入幕の元大関照ノ富士に敗れたものの続く琴恵光は錦木を寄り切り。新入幕の琴勝峰も千代丸を寄り切って幕内デビュー戦を白星で飾ると関取最年長の元大関琴奨菊も若隆景を寄り切り。最後は幕内2場所目の琴ノ若が大関経験者の高安を土俵際の逆転で勝ちを拾い、“チーム佐渡ヶ嶽”は4勝1敗と幸先の良いスタートを切った。
同部屋の力士が5人連続で幕内の土俵に上がったのは2009年夏場所初日、武蔵川部屋の武州山、翔天狼、垣添、出島、雅山以来、11年ぶり。最近でこそ珍しいケースとなったが、かつては“若貴”をはじめ大関貴ノ浪、安芸乃島や貴闘力らの三役常連を抱え、わが世の春を謳歌していた二子山部屋や横綱武蔵丸を筆頭に出島、武双山、雅山の3大関や実力者の和歌乃山を擁した武蔵川部屋が団体戦よろしく“5人組”を度々形成していた。
佐渡ヶ嶽部屋における同様のケースは1991年秋場所千秋楽の琴稲妻、琴椿、琴の若、琴ヶ梅、琴錦と翌年九州場所7日目の琴ヶ梅、琴稲妻、琴椿、琴の若、琴別府に次いで平成以降3例目。2度目のときは同部屋に7人もの幕内力士を抱え、当時は「七琴」と呼ばれて栄華を誇っていた。
今回は先場所の琴奨菊と琴ノ若の2人から一挙に3人増えて幕内で一大勢力を築くまでになった。1964年九州場所から56年にわたって幕内力士を1場所も欠かすことなく排出している佐渡ヶ嶽部屋は令和の時代にも22歳の琴ノ若と二十歳の琴勝峰の若いホープ2人がけん引役となって隆盛期に向かっていくことだろう。ちなみに翌2日目も幕内最初の取組から5番連続で“チーム佐渡ヶ嶽”が土俵に上がる。
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