「この手だから、ここまで努力できたし、ここまで野球が上手になれたし…」。
 岡山県の身体障害者野球チーム「岡山桃太郎」に所属する早嶋健太選手(24)は、生まれつき左手首から先がない。それでも世界大会でMVPに輝き、「日本のエース」と呼ばれている。ボールを捕るのも投げるのも、全て右手でこなす。グラブを素早く左脇に抱え、右手で掴み直して投げるのだ。この一連の動作は、障害を感じさせないほど速い。
 しかし健常者用のグラブを無理に使い続けたことで右肘を故障。去年、手術を受けた。そんなとき、早嶋選手の手に合わせたグラブ作りが始まった。企画したのは、同じ岡山県の高校球児たち。グラブ職人と試行錯誤しながら、障害者野球の新たな可能性を示す“唯一無二”のグラブづくりが始まった。(瀬戸内海放送制作 テレメンタリー『エースの手 ~障害者野球 唯一無二のグラブ~』より)