菅井竜也八段「自分が頑張らないと」プロ将棋界で居飛車党に押される振り飛車党のサバイバル時代 AI研究の影響大
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 プロの将棋界において、AI研究は「居飛車VS振り飛車」という戦いにおいても、大きな影響をもたらしている。そう語るのが、振り飛車党のエース格・菅井竜也八段(28)だ。2010年4月に四段昇段を果たし、プロ生活丸10年。「子どものころから好きな戦法」と振り飛車を駆使してタイトルを取り、順位戦A級にまでやってきた。ただ、今感じているのは「年々厳しくなっている」という振り飛車不利の状況だ。

▶動画:藤井聡太棋聖 対 菅井竜也八段 将棋日本シリーズ JTプロ公式戦

 プロ将棋界では少数派であるにも関わらず、アマ将棋界では非常にファンが多い振り飛車。盤面右側に初期配置される飛車を、逆の左側に移動させる戦法の総称だ。かの大山康晴十五世名人が得意としたもので、現役棋士では藤井猛九段(49)、久保利明九段(44)あたりの名がすぐにあがる。それでも、やはりプロでは居飛車党が圧倒的に多く、その分、振り飛車は研究という点でも遅れを取っている。

 20代の振り飛車党として活躍する菅井八段も、危機感は強い。「年々厳しくはなってきています。AIの影響がかなり大きいですね。全然勝てないとか、戦法として通用しないわけではないんです。振り飛車党でも勝つ人は勝っているし。ただ、どうしても人数が少ない分、振り飛車党にしかない武器で勝ち残っていかないといけないんです」と、状況を説明した。

 この「振り飛車党にしかない武器」を見つけるには、相当量の研究が必要だが“人手”が足りない。「居飛車と比べてきちっとした定跡が整備されていない」と、安定したものが少ない。反面「人によって個性が出やすい」ところもある。定跡がどんどんと生まれる居飛車に対して、棋士によってまるで違う振り飛車。「未知の要素が多いので、研究しがいがある」のも魅力だ。

 振り飛車党をこれ以上減らさない、むしろ増やすためには結果が必要だ。「振り飛車党としては、ずっと久保先生が長い間引っ張ってくれた。でも、これからもずっと久保先生に頼るわけにもいかないし、現在の棋士で言えば、自分が振り飛車を引っ張らないと自分より後輩で振り飛車をする人が、どんどん少なくなってしまう」と危機感を募らせた。

 今年度、菅井八段は勝敗だけ見れば、決して好調ではない。むしろ苦戦だ。振り飛車党の実力者として認められる自分が苦しむようでは、後に続く棋士が減ってしまうというのも、本人が言うとおりだ。「最近だと(順位戦の)C級とかB級、新四段でもA級棋士と力が変わらない棋士がたくさんいますからね」。下の世代からの突き上げも感じる年齢になった今、自分の道を信じてまた飛車を振る。

ABEMA/将棋チャンネルより)

2020年度「将棋日本シリーズ」 一回戦第三局 藤井聡太棋聖 対 菅井竜也八段
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将棋日本シリーズ JTプロ公式戦
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