「宗教の世界と政治の世界は違う」「課題があれば毎日でも安倍さんと電話する」公明党・山口代表に疑問をぶつけてみた
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 「国民の皆さんの不安に応え、見通しを与え、そして分かりやすい対応に変えていく。そうした推進力として公明党が力を発揮しなければならない」。

 22日、党本部でそう語った公明党の山口那津男代表(68)。東京大学法学部を卒業後、弁護士として活動した後、1990年に衆院選に初当選。そして2001年には参院選に初当選し、現在4期目だ。2009年には公明党代表に就任、2012年に第二次安倍政権が発足して以来、連立与党の代表として政権を支え続けてきた。

 『ABEMA Prime』では、時に“なっちゃん”とも呼ばれ、安倍総理にも直談判する山口代表に話を聞いた。

・【映像】「安倍総理が辞任したら山口代表も辞める?」公明党“なっちゃん”こと山口那津男代表が緊急出演!

■「課題があれば毎日でも電話をする」

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 連立を組む自民党総裁でもある安倍総理とは、月に一度の「政府与党連絡会議」で言葉を交わすほか、「2人で昼食をとり、小一時間懇談している」という山口代表。「課題があれば毎日でも電話をするし、お互いに“もっとこういうふうにしたいと思うが”とか、“あの課題はこうやって決めたから”という連絡は頻繁にしている」と明かす。

 「お互いに近づきながら、補い合いながら、期待に応える。まずいところがあれば改める。そういうことを重ねてきた努力の結果だと思う。安倍総理は非常にフランクなところがあるし、同時に非常にリアリストだと感じる。こういう言い方は失礼かもしれないが、飲み込みが早い(笑)。こちらの言いたいことを早く、的確に捉えてくださる。その上で、お考えがいろいろあるだろうから、議論を尽くしながら、となる。例えば、先般の家庭単位に30万円を給付するという案はやめた方がいいというのは“ブレーキ”だ。しかし一律10万円の給付にしたほうが良いというのは“アクセル“だ。この二つを、同じタイミングで進めていく。つまり公明党はアクセルとブレーキの両方の役割として、ちゃんと機能している。そこが自公連立に対する信頼に繋がっているのではないかと思う」。

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 では、両党の思想や政策の違いについて、山口代表はどのように考えているのだろうか。作家の乙武洋匡氏が「“もう連立を離脱してやろうかな”と思った瞬間はあるのか」と尋ねると、「覚えていない」とかわした。

 「確かに歴史も支持層も違うので、具体的な政策でもぶつかるところはある。一方、民意を幅広く受け止めることができる組み合わせでもある。重要な課題について、全国に基盤がある両党が話し合いを尽くし、合意して実行する。これは信頼関係がなければならないことだが、それも築きながらやっている。やはり政治が混乱すれば、国民が困るし、日本の政治が安定していなければ、世界が困る。そういう信念を、両党のリーダーはしっかり持ってやってきていると思っている。私は野党時代も長く経験しているが、当時はいくら政策を打ち出しても実現させることができないし、地方の議員さんからは、“なぜ国政でこれが実現できないのか”といつも指摘されていた。しかし与党になれば、努力すれば予算も法律も実現させることができるし、国でやったことが地方と連動し、一つの大きな政策を立体的に推進していくことができる。それがうまくいかない時も、現場からの声をもとに作り直し、補っていく。そこが与党の醍醐味だと思う」。

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 なかでも両党の最大の違いとして注目されるのが、憲法改正をめぐる認識だ。この日も山口氏は、作家の乙武洋匡氏の問いに対し、「改正をするには議論が熟していない」と断言した。

 「改正の必要性まで否定しているわけではない。改正はしていい。憲法の基本的な3つの原理、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義。ここは変えてはいけないと思っているが、その他の部分については、制定からこれだけ時間が経ったのだから、変えてもいい部分があるかもしれない。党内でも、新しい人権として環境権を位置づけたらどうかという議論が出た。しかし、ヨーロッパでは、決めたがためにかえって紛争が多発し、政策が進まないというケースもある。日本はそういうことも良く検討した方がいいですよということで止まっている。また、最も改正を進めたいと思っている自民党でさえも、なぜ改正しないといけないのか、国民が納得できるような分かりやすい案にまで高められていないように思う。自民党そのものが改憲を目指してきた政党だから、そのリーダーとして安倍さんが思いを発せられるのは否定すべきことではない。しかし、その具体的な内容だ。かつて作った草案にはちょっと行き過ぎている部分があったと思うし、今も幅広い合意を得られる内容になっているかというと、まだ辿り着いていないという実感がある」。

■「信仰の世界、宗教の世界と政治の世界は違う」

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 話は山口代表自身、そして公明党の今後にも及んだ。

 「最初から政治家になろうと思っていたわけではない」という山口代表。弁護士時代、「国会でいい予算や法律を作ることが、大勢の人をいっぺんに助けることにつながる」と感じ、国政を志したという。

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 「目の前の困っている人の役に立とうという志でやってきたが、全国にいる同じような悩み、苦しみを抱えた人のところまでは、弁護士では手が届かない。それ政治にしかできないことだと実感したそして、公明党の先輩、神崎武法元代表から声をかけられた。公明党は第一世代から定年制を実行していて、世代交代を進めようとしてきた。そういう中で、弁護士やジャーナリスト、官僚など、様々な分野から知識や経験、技術を持った人をスカウトしていた。私で役立つのか、自信はなかったが、一緒にやってくれと言われ、弁護士の仕事に誇りあるが限界もあると感じていたので、お引き受けした」。

 東南アジアを訪問したことを機に、地雷除去もライフワークだという。「ベトナムに行った際、農作業中にベトナム戦争の頃に埋められた地雷の被害に遭ったという若い方が血だらけで包帯にくるまっているのを見た。戦争が終わってから十数年経っても、毎日どこかでこういう被害が出ているので、日本の技術で何とかしてください。という現場の声も聞いた。何とかできないものかと思い立った」。

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 元経産官僚の宇佐美典也氏は、党の支持母体である創価学会の池田大作名誉会長が提唱する「平和主義」の点に注目。今の国際社会がこの流れに逆行しているのではないかと問うと、「先ほどの3つの原理に加え、国際協調主義も憲法が謳っているところなので、併せてやっていこうというのが公明党の立場だ。今、世界での分断や一国主義などが目立っているが、これは日本の目指す道とは違うと思う」とした。

 一方、憲法が“信教の自由”を保障する中で、創価学会を支持母体とする党を運営していることについて山口代表は、「信仰の世界、宗教の世界と政治の世界は違う。政治の世界は議会制民主主義で多様な価値を認め、平等、自由が保障されているわけで、公明党もそこを前提にできている。もちろん信仰や宗教、哲学というものは人間を深く洞察するものなので、そうした価値観が政策に反映されるのも望ましいことだとは思うが、宗教世界の価値体系をそのまま政治の世界に持ち込むべきではないと思っている」と話した。

 さらに宇佐美氏は、日中関係において公明党が重要な役割を果たしてきたと指摘すると、「今年は習近平主席が来日の予定だったが、コロナで実現できない状況だ。大局的には日中関係を安定させ、協力し合って世界の繁栄、安定のために尽くさなければならない。そういう関係が望ましい」と話した。

 さらに宇佐美氏は、日中関係において公明党が重要な役割を果たしてきたと指摘すると、「今年は習近平主席が来日の予定だったが、コロナで実現できない状況だ。大局的には日中関係を安定させ、協力し合って世界の繁栄、安定のために尽くさなければならない。そういう関係が望ましい」と話した。

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 今後の政治日程をみてみると、9月には党大会、そして、その1年後には安倍総理の任期が迫る。

 宇佐美氏が「前回は教育無償化や“防災ニューディール”を打ち出したと思う。今回はどのような軸を打ち出すのか」と質問すると、山口代表は「“アフターコロナ”の世界にどう取り組むかだと思う。例えばデジタル化や地方創生、あるいは医療体制の基盤を厚くし、ワクチンや治療薬の開発を進めるといったことは重要な柱になっていくだろう。その上で、自民党がどうされるか分からないが、次の政権とも話し合いを尽くしていきたいと思う。党大会は代表を含め、人事のタイミングでもあるが、公明党が自民党さんから人事について言われるとやりにくいように、こちらも自民党の中のことは尊重して、どなたが総裁になられたとしても、連立政権を安定させ、果断に政策を実行する。そういう大義で結びつきたいと思っている。私と安倍さんが常に運命を共にしなくてはならないわけではないし、どちらが早く辞めるかということも決めることではない」と話した。

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 また、乙武氏が、少子高齢化に伴う党員や候補者獲得の課題について質問すると、山口代表は「公明党の歴史は50年以上になる。支持層が減っているんじゃないか、高齢化しているんじゃないかと言われながらも、過去最高得票という選挙が毎年出ている。その秘密を探りながら、党勢拡大に生かしていこうと努力している。ただ、どの組織もそうであるように、公明党も少子高齢化に直面することは免れない。青年局の若手議員が全国で若い人と対話をして、そこから政策の種を拾ってくる活動をしている。“自分たちが言ったことが総理に届いた。ちゃんと政治に届いているんだ。いくつかは具体的な政策として返ってくるんだ”ということを見せていくことで、反響が少しずつ広がっている。そのようにして若い世代に党の理念なり伝統を引き継いでいかないといけないと思っているし、それに賛同し、実行力のある方がいれば、(創価学会員ではない候補者の擁立も)否定すべきではない」と答えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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