先月30日、東京都医師会の尾崎治夫会長が会見を行い、新型コロナウイルス感染症に対して都が講じる感染防止策の現状に強い憤りを示した。「適時適切な対策を」と話す小池都知事が打ち出したのは、休業要請に応じた場合、補償金として50万円を支給するというものだったが、協力金では家賃を賄うこともできず要請に応じてもらえなかったのが実情だ。さらに都はきのうから、都内の酒類の提供を行う飲食店、カラオケに対して31日までの間、営業時間を朝5時から夜10時までに短縮するよう要請。ガイドラインを遵守してステッカーを掲示し、協力した中小企業に対して協力金として一律20万円を支給するとしている。
会見の中で尾崎会長は「無症状者を含めた感染者の積極的隔離が第一に必要」と話したうえで、現行の特別措置法を改正し、法的拘束力のある休業要請に加え、休業補償をセットで行うこと。それらを全国のエピセンター化している地域限定で行うことなどを提案。東京都医師会の心からのお願いとして「国会を開いて、こういったことを議論していただきたい。今が感染拡大の最後のチャンスではないかと思っている。国が法改正して一斉に進める。それが日本全国に広がる火種を消していく唯一の方法だ」と強い口調で述べた。
尾崎会長の発言に対して意見を問われた前新潟県知事で医師でもある米山隆一氏は、まず医師の観点から「PCR検査は保険適用にもなり、検査が普通にできるようになっていると思われているかもしれないが、実際は全然不自由。診療所で疑いのある人がいても、疑い条件が無ければいけない。『念のためPCR』はダメ」と医療現場の実態を明かした。
またお盆を控え、政府がGoToトラベルで家族旅行を推進する一方、帰省については慎重論が出るなど矛盾も露呈している。社会経済活動と感染防止の両立にこだわる姿勢について「明日から家族旅行だからちょっと調べたいという人がいっぱいいる。それでは受けられない。ダメなら家に閉じこもっているのかといえば、そうでもない。経済と両立するのであればもっと検査をしていかないと。現実的に無理なことがずっと残っている」と懸念を述べた米山氏は「このまま経済を回していくとなれば、それは感染がどうしたって爆発する。言葉は悪いかもしれないが、『爆発したら最終的に尻ぬぐいをするのは俺たち』という思いが尾崎会長にはあるのだろう。このままでは絶対無理というのはわかる」と警鐘を鳴らし、尾崎会長の憤りに賛同した。
最後に米山氏は現状の問題点として「いま国民が不安なのはゴールが見えないこと。その場その場で増えたら自粛要請はするが、どこまでかがわからない。もちろん、世界中誰もゴールが見えていないからこうなっている。でも、ここまで増えたらこうする。ここまで減ったらこうする。検査まで含めて、どういうプランで、どう鎮圧するかを示す。示せば、日本人は行政を信じてくれる。今のゴタゴタ感は、どうやって行くのかが示されていないから。そもそも安倍総理にも、小池都知事にも、自分の中にプランが無い。だから場当たり的な対策を出している。それをわかっているから、一部の夜のお店も『やってられるか』となっているのだろう」と話した。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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