プロ将棋界初の早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の決勝トーナメント準決勝、チーム永瀬VSチーム康光が8月8日に行われ、第7局でチーム康光・森内俊之九段(49)が、チーム永瀬のリーダー・永瀬拓矢二冠(27)に勝利した。森内九段は、第5局で藤井聡太棋聖(18)にも勝利。十八世名人の有資格者でもあるレジェンドが、若きタイトルホルダー2人を連続で破り、将棋史に名を残す棋士の力をまたもファンに見せつけた。
▶中継:第3回AbemaTVトーナメント準決勝<チーム永瀬 VS チーム康光>
若手有利と言われる超早指し戦で、トップを走るタイトルホルダーに連勝。非公式戦ながら、将棋界に激震が走るような快勝劇だ。永瀬二冠の先手で、相掛かりから始まった一局は、永瀬二冠が鋭く攻め込んできたところに対して「鉄板流」と言われる分厚い守りで応対。「序盤から構想力が問われる難しい将棋」と振り返りながら、攻守の切り替えも抜群で、自玉の安全を確保しながら、永瀬玉を即詰みの討ち取る豪腕ぶり。「最後までわからない将棋でした」と語ったが、見守った人々には「森内強し」というイメージが、深く心に刻まれた。
名人8期を含むタイトル12期を誇る森内九段は、2016年度の順位戦A級で、22期連続で在籍していたA級(名人含む)の記録がストップ。次年度、B級1組への降級が決まっていたが、フリークラス転出の宣言を行い、その後は将棋界を盛り上げる側として、日本将棋連盟専務理事にもなった。自らフリークラスを選んだ場合、再び順位戦に戻ることはできないが、同棋戦の活躍ぶりにファンから「特例でA級復帰でいいのでは」という声も出たほどだ。
ファンの驚きと感動を読んだタイトルホルダーへの連勝。「森内最強説」「なぜこんな強い人がフリークラスなんだ」「この二勝すごいだろ」「森内タイトル狙えるで」と、非公式戦ながら完全復活を予感させる戦いぶりに、賛辞が収まることはなかった。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで対局。全12チームが4つの予選リーグに分かれて戦い、各リーグ上位2位までが予選通過。決勝トーナメントは5本先取の9本勝負で行われ、勝ち越しが決定した時点で終了する。1チームは3人で、各棋士は1試合につき最低1局、最大3局の範囲で指す必要がある。対局者は各対局前に決定する。優勝賞金1000万円。
◆決勝トーナメント進出チーム
チーム渡辺、チーム永瀬、チーム康光、チーム三浦、チーム久保、チーム天彦、チーム広瀬、チーム糸谷
(ABEMA/将棋チャンネルより)