「これがGHC」潮崎vs拳王、ノアW王座戦は珠玉の60分フルタイム 試合後に見せた潮崎の“使命感”
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 大げさでなく、伝説に残る一戦だった。8月10日に開催された、プロレスリング・ノア横浜文化体育館大会。メインイベントの潮崎豪vs拳王、GHCヘビー級とGHCナショナルのダブルタイトルマッチは、60分フルタイムドローにより両者防衛となった。

【映像】大げさでなく、伝説に残る一戦

 真夏の猛暑、照明が当たるリングの上はさらに異様な暑さだ。そこで60分闘い続けたのだから凄まじい。単に長い試合だったというだけではなく、中身の濃さもただごとではなかった。拳王は花道からの断崖式ブレーンバスター、コーナーからリング外への超高度ダイビング・フットスタンプ(PFS)など破天荒な技を繰り出していく。頭部への蹴りも何発となく決まった。

 その攻撃を受けまくり、耐えまくって潮崎が反撃。勝負所であるリング内でのPFSはラリアットで迎撃してみせた。圧巻は潮崎のチョップと拳王のミドルキックの打ち合い。我慢比べ、意地の張り合いと言えば簡単だが、両者のそれは完全に限界を超えていた。しかも拳王は4日、潮崎は5日にタイトルマッチを行なったばかりだ。

 タイムアップぎりぎりのところで潮崎がとっておきの必殺技・ムーンサルトプレスを決めたが、拳王がフォールを回避して試合終了。拳王はセコンドの肩を借りて退場していった。残った潮崎がマイクを握り、ビッグマッチを締める。

「これがGHCだ! これがノアの闘いだ!」

 一度はノアを離れたことがあるからこそ、今ノアの頂点にいることへの誇り、責任感も強い。インタビュースペースでは「コロナ禍でも止まらなかったノアを、これからも加速させていく」と宣言した。

「これがGHC」潮崎vs拳王、ノアW王座戦は珠玉の60分フルタイム 試合後に見せた潮崎の“使命感”
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 さらに大会翌日、潮崎は一夜明け会見にも出席し、試合を振り返るとともに今後の抱負を語っている。60分フルタイムドローという結果については「お互いの意地が決着をつけさせなかった」。

 この横浜大会では、ファンが自宅で応援する姿をZoomを使ってスクリーンに映し出すという企画も実施された。その画面の中には、ノアOBである小橋建太の姿も。潮崎は小橋の付き人を務めていたことがあるだけに、特別な思いがあったようだ。

「小橋さんが画面に大きく映って、こっちを見ている。その緊張感というのは拳王にはないものだったと思いますね。いい緊張を与えていただいた。小橋さんが見ている前でヘタなことはできない」

 5日に丸藤正道を下し王座防衛、10日に60分フルタイムドローで防衛、マイクで大会を締め、コメントも出し、そのうえ一夜明け会見。あらためて、潮崎のおそるべきタフさを感じずにはいられなかった。会見でダメージ、コンディションについて聞くと「休んでよかった? 休んでもいいなら休みたかったけど」と笑いながら、こう付け加えた。

「これがチャンピオンの役割ですから。マイクだってやらなきゃいけないし、倒れちゃいけない。みんなの前ではこの2本の足で立つのがチャンピオン。そういう重みがGHCにはある」

 無観客試合で30分の睨み合いを展開した藤田和之戦、三沢光晴に捧げた齋藤彰俊戦、そして丸藤戦から拳王戦へ。4度の王座防衛で、すべて絶大なインパクトを残している潮崎。全団体を見渡しても、いま最も充実している選手、いま最も見るべき選手と言っていいのではないか。

文/橋本宗洋

写真/プロレスリング・ノア

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