「スタート大変厳しい」苦難のGoToに元観光庁長官が独自提言 ひろゆき氏「金のために感染許容するのはどうなのか」
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 新型コロナウイルスがもたらした、“特別な夏”。人が集まるイベントは相次いで中止になり、いつもの夏とは違った過ごし方が求められている。

【映像】ひろゆきと元観光庁長官が議論

 そんな中、7月22日から導入された「GoToトラベル」キャンペーン。苦境による旅行業界を活性化するためのものだが、感染抑制と経済活動の再開という相反する対策に、「感染拡大しないように動くって不可能では?」「旅行に行っていいの?ダメなの?」など、批判や困惑の声が集まっている。

 一方で、飲食店や観光業では「客足が伸びない」との声も。あちらを立てればこちらが立たず。そんなジレンマを抱えるGoToキャンペーンについて、14日の『ABEMA Prime』は元観光庁長官で大阪観光局理事長の溝畑宏氏と考えた。

■3週間が経ったGoToトラベル「スタートは大変厳しい状況」

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 開始から3週間が経ったGoToトラベルキャンペーンについて溝端氏は、「始めの方でドタバタがあったのと、8月には感染拡大が思いのほか広がりすぎて戸惑いが起こってしまった。スタートは大変厳しい状況にあると思う」との見解を示す一方、「目先のことに目を奪われすぎている。もっと長いタームで見るべき。感染拡大防止をしながら人の移動、経済を動かしていこうという目的は正しいと思う」と、事業自体は進めるべきとの立場だ。

 そのうえで、この苦境を乗り切るため、「一度決めたら何があっても“ブレるな”!」と提言する。

 コロナ対策を指揮する西村経済再生担当大臣は2日、お盆の帰省について「慎重に考えないといけないのではないか」と発言。ところが、菅官房長官は3日に「帰省を制限する・しないの方向性を述べたものではない」と打ち消した。かたや小池都知事は7日、「旅行、帰省、遠くへの外出をお控えいただきたい」と述べ、その考えの違いが浮き彫りになっている。

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 溝畑氏は「今こういうことをやるのは、日本のサービス産業で重要な役割を担っている観光業をしっかり守らないといけないという判断から。そのために“この事業をやる”という軸がブレてはいけない。しかし、世論がワーっと言ったら、『東京はやめましょう』『帰省客はこうしましょう』と、政府と知事で言うことがずれている。一定の方向性が出たら、政府が言っていることと都知事が言っていることが同じベクトルでないと、都民は『あれ、どうしたらいいのかな?』と思ってしまう。ちょっとした軌道修正はいいかもしれないが、『旅行に行ったらいいのか、帰省していいのかどっちなんだ』と都民や国民が不安になったことが、出だしで躓いている大きな原因になっていることは間違いない」との見方を示す。

 一方、開始3週間の「GoToトラベル」に対し「失敗だった。さっさとやめたほうがいい」と手厳しい評価を下したのは、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏。「村や市の単位で『うちは観光客に来てほしくない』と言っているところはある。でもGoToキャンペーン拒絶はできなかった」、「医療体制が逼迫していても旅行をガンガンやれということか」などと、苦言を呈した。

 また、慶應大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は、「都道府県はそれぞれ状況が違うので、国の方針に対して都道府県が『国はこう言っているけどうちはこうする』という見解があっていいということだろう。問題は、ニュースを見ている視聴者には見解の違いがブレに見えてしまうことだと思う」と指摘。

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 続けて、「それぞれに理由があって言っていることがチグハグな時、都道府県知事が全部足並みをそろえることではなくて、国がもっとより強い明確なメッセージを伝えれば良かったのか。都道府県知事が別々のことを言う中で、ブレない大方針というのは、国はどういう言い方をするのが理想的だったのか」と疑問を呈する。

 こうした指摘について溝畑氏は「今後の感染拡大や医療状況を見ながら、ある程度感染拡大が起こった時は地域や発着地を対象に制限を加えていくとか、『こういう基準でやっていきましょう』という事前のシミュレーションができずに発してしまったことで混乱を起こしてしまった。各都道府県が言っていることで共通しているのは、突っ走るのではなく感染拡大を見ながら制限を加えるといったことで、きちんとアクセルを踏んだり緩めたりするということだ」と説明。

 一方で、基準を数字で明確に示すことは難しいとし、「医療体制は地域によって違うし、観光に非常に力を入れているところとそうでないところではウエイトの置き方が違う。県の中でも、観光を生業としている市町村と観光が全く関係ないところもあるので、非常にまだらになってしまっていることが、ある程度走りながら考えざるを得ない難しさだと思う」と述べた。

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 さらに、パンサーの向井慧は「『GoToの打ち出し方を失敗してしまった。こういうことだった』と謝れる国の偉い人は今いるのか。そこがブレないせいでずっと変なままだから、逆にブレた方が僕らには届く気もする」と意見を述べる。

 溝端氏は「進めながら『こういうところはちょっとうまくいかなかった』『こういうところはあるから理解してほしい』という説明責任は果たしていくべき。未知との戦いに対して、政府や自治体、一人ひとりが同じ思いで進んでいかなくてはいけない中で、批判や反対などいろいろ意見していく進め方をしないと、みんなが幸せにならない」とした。

■ひろゆき氏「金のために国が感染許容するのはどうなのか?」

 溝端氏はもうひとつ、「失敗の犯人はスルー。“成功体験”を増やせ!」と提言する。

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 大阪の取り組みについて溝端氏は、「何も議論することなくキャンセルしたり中止したりすることは回避しよう、ガイドラインを作ってしっかり実行していこうと。7月末の展示会には約3日間で1万4000人が来場したが、感染症も起こらなかった。8月上旬には5000人のキャパで、大阪城ホールでイベント(Osaka Music DAYS!!!)もやった。『もうできない』というマイナスを少しでも小さくして、感染拡大防止と経済再生を両立しながら『どうしたらやれるんだ』ということで、大阪が日本のモデルケースになるようチャレンジしていきたいと思っている」と話す。

 大阪では今後、10月3日、4日の泉州夢花火、11月3日~12月31日の御堂筋イルミネーション2020、時期未定ではあるがボクシング大会などのイベントが予定されている(いずれも感染対策を行ったうえで開催。社会状況で変更・中止の可能性あり)。

 一方、GoToトラベルキャンペーンの効果について、12日の『ABEMA Prime』に出演した「旅館こうろ」(京都市中京区)の3代目・北原達馬社長は「効果はほぼない」「都市部より海沿いの宿泊施設などが埋まっている」「9月に一度延期された修学旅行が再びキャンセルに」「GoTo批判で逆に旅行しにくい雰囲気に」と窮状を訴えた。

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 溝畑氏は「GoToキャンペーンで申し込んだら恥ずかしいという風潮になってしまったのは、私の仲間も政府にいるので一緒に謝らないといけない立場。本来の目的とは間違ったイメージを皆さんに与えてしまった。また、8月の感染は大丈夫かな不安に思う一方、9月、10月以降に予約する人が増えてきているという皮肉な現象が出てきている。そういう意味で、お盆の時期に動かないでくださいというメッセージも影響を与えてしまったと思う」との考えを示した。

 GoToキャンペーンの着地点について、AV女優の紗倉まなは「GoToキャンペーンを実施して、成功したと言えるビジョンがよく見えない部分がある。キャンペーンによって感染者が増えて、長らく旅行に行けなくなるのが最悪のシナリオだと思うが、着地点はあるのか」と疑問を呈する。

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 溝畑氏は「国内観光が昨年、日本の経済に及ぼした額は20兆円くらいと言われている。今回4月から6月の緊急事態宣言で相当経済がへこんでしまったので、そのマイナスを少しでも補いながら、経済を少しでも回復させて、できれば来年に向けて弾みをつけたいというのが目標。数字的にいくらかというのはなかなか出づらいが、4月から6月の予約率が10%を切っていて、今がだいたい30%~50%。これを何とか昨年並みの100%近いものに持って行きたいというのが、一つの目標かなと思う」と説明した。

 ひろゆき氏は「観光がビジネスとしてきつくなった、お金が足りないというのはわかる。でもそのお金のために普通に暮らしている人が感染して死ぬかもしれないことを国が許容しているのはどうかと思う。“金のために死ぬ人はいるけどまあ仕方ないよね、金のためだもん”と国がブレない発言として言っちゃうのは結局、“弱者は死ね。だって金儲けの方が重要だもん”ということだ。僕はそれ自体が間違っていると思う」と自身の考えを示す。

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 これに溝畑氏は「(観光業、飲食業、イベント業等に従事する)3000万人だけではなくて、日本の個人消費のかなり大きなところをサービス産業が占めている。だからこそ、これを動かすことによって多くの方に、この産業とは関係ない人もいるかもしれないが、まずは一つの効果がある施策としてやろうということだ」との考えを示した。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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