安倍総理は24日、総理大臣の連続在任日数が2799日となり、佐藤栄作元総理を抜いて歴代最長記録を更新した。その受け止めを聞かれ、「政治においては、その職に何日間在職したかではなくて、何を成し遂げたかが問われるのだろうと思う」と述べた安倍総理。
第2次安倍政権が発足した2012年以降、安倍総理は金融緩和・財政出動・成長戦略の“3本の矢”による経済政策、いわゆる“アベノミクス”を推進してきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で経済は打撃を受け、その看板政策は水泡に帰しつつある。また、こだわってきた憲法改正や北朝鮮による日本人拉致問題などの解決についても、見通しが立たない状況だ。
25日の『ABEMAヒルズ』では、東京工業大学准教授の西田亮介氏に安倍総理の“通信簿”を付けてもらった。まず、直近のコロナ感染対策については「◯に近い△」とした。理由として「コロナ禍はまだ続いているし、医学の専門家が本来評価すべき。そのうえでWHOはたびたび肯定的評価を示してきたことや、現状の感染者数、死亡者数の少なさは一定程度評価できるのでは」とした。経済関連の対策については、以下のように評価した。
・アベノマスク【×】
→品質や配り方での混乱、あまりに時間がかかったこともあって評価し難いものがある。
・GoToキャンペーン【×】
→意味不明だと言わざるを得ない。経済のV字回復が必要だというのはわかる。しかし感染収束後ということだったし、開始時期は評価し難い。実施事業者選定の不透明さや東京の除外をめぐるやり取りもよくわからなかった。このキャンペーンが感染を拡大したかどうかはわからないが、事後的にきちんと評価されるべきだ。一定の利用件数があったことは言われているが、経済効果はどの程度あったのか、これもしっかり検証するべき。
・一律10万円の給付【△】、持続化給付金【×】、家賃支援【△】、学生給付金【△】
→給付の措置、特に事業者向けはあまり評価していない。どれだけ効果があったのか、かなりあやしいと思っている。この金額では効果が期待できるのは零細の飲食店等に限られていて、製造業の中小企業ではあまり効果がなかったのではないか。そういう意味で、家賃支援も×に近い△。自前の工場、施設を所有する事業者は家賃支援に該当しない。世帯向けの一律10万円の給付については評価できるが、困窮者への手当を厚くすべきだった。電子申請も混乱した。結局アナログで地方公務員の方々が手作業で精査するなど大変混乱を生んだので、◯とまではいえない。
さらに、次の2点についても聞いた。
・今後ある?消費税減税【×】
→セオリーとしては厳しいと思う。基本的に何か政策をうつ時には、事前に財源を対応させるのが大原則。消費税1%で2兆円強の税収があるとされる。どれだけ減税するかにもよるが、今の予算規模を維持するのなら他の財源で代替し難いのではないか。ただし、ネットなどでは人気の政策なので、その人気を当て込んだウルトラCは否定できない。
・アベノミクスの経済効果【◯】
→大変重要で、◯だけではなく◎に近いのではと思っている。例えば株価は改善しているし、失業率も大幅に減少した。失業率と強い相関があると言われている自殺者数もかなり減少している。元々3本の矢から始まって、一億総活躍、今はSociety 5.0と看板が変わっていることやそれらが軒並み頓挫気味だが、このなかでは経済政策は評価できると思っている。
西田氏はこれらをまとめ、「やってる感は出すものの、やりたいことがわからないナゾ内閣」と総括。「おもしろ風に書いてみたところはあるが、既存のイデオロギーで言うと右なのか左なのか、保守なのか革新なのかということも定義し難い。憲法改正もやりたかったと言われているが、いっこうに気配はみえない。あまり原則がない。集団的自衛権の解釈の変更など、粛々と時々のわかりやすい実務に取り組み、成果がなかったとまでは言えないと思うが、明確なコンセプトや大局観を挙げづらく“ナゾ内閣”と評価した」とした。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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