9月11日に配信されたONE Championshipタイ大会「ONE:A NEW BREED II」で、16歳の現役女子高生キックボクサーが衝撃のKOでデビュー。2発の強烈な右パンチでわずか1分の間に2つのダウンを奪うなど、圧勝劇を披露した。相手の左をまともに貰いながらも、豪快な右を返してねじ込んだクロスカウンターのようなKOシーンに視聴者からは「完璧にアゴを打ち抜いてる」など驚きの声が上がった。
第4試合に行われたスーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)とミラグロス・ロペス(アルゼンチン)の一戦。スーパーガールの実の姉は、現在ONEで大ブレイク中のワンダーガール・フェアテックスだ。
ファーストコンタクトから強打の姉を彷彿とさせるノーモーションの右ストレートが炸裂する。しかも長身から振り下ろされることに加え、リーチの長さでも不利と感じたか、ロペスがたまらず首相撲に持ち込むが、これを前蹴りで引き離したスーパーガール。ロペスが右のミドルで応じると、これに強烈な右のカウンターを合わせた。「バゴッ」と鈍い音と共にロペスが最初のダウンを喫したが、ここまで試合開始からわずか30秒である。
ややフラッシュ気味のダウンであったが、ロペスがすぐに立ち上がり試合は再開。追い込まれたロペスが至近距離の打撃戦からヒジを見せると、スーパーガールもよりシャープな右ヒジを振るう。
「殴られたら、殴り返す」
そんな展開を予想した矢先、衝撃の幕切れが訪れる。ロペスの左がスーパーガールの顔面を捉えた次の瞬間、スーパーガールの右が真っすぐに伸び、ロペスのアゴを打ち抜いた。再びダウンを喫したロペスが、ゆっくりと後ろに倒れていく様子を確認したレフェリーがすかさずゴングを要求、試合を止めた。
まるで漫画「あしたのジョー」のクロスカウンターのような強烈なシーンに「これはスーパーな右」「女子でKOってすごい」「完璧にアゴを打ち抜いてる」と視聴者も大興奮。スロー映像が映し出されると、ABEMAでゲスト解説を務めたONEのキックに参戦中で元シュートボクシングのスーパーライト級世界王者でもある鈴木博昭が「殴られながら殴り返してKOしましたね。ここまで意識が飛ぶような倒し方をする女子はあまり見たことがないです。パンチがシャープで、すごい娘が出てきましたね」と勝ちっぷりに驚嘆した。
試合後に行われたリングインタビューで「(得意の)右で決めることができて嬉しい」と屈託のない笑顔で勝利者インタビューに応えたスーパーガール。「近所の男の子にいじめられないように」と3歳のとき、父親に護身術としてムエタイを教えて貰ったのが格闘技をはじめるきっかけだったという。
親しみやすい「ワンダーガールとスーパーガール」というリングネームに加え、力強い打撃でダウンを量産する“KOアーティスト”姉妹。ONEでのこれからの活躍が楽しみだ。