将棋の竜王戦挑戦者決定三番勝負の第3局が9月19日に行われ、羽生善治九段(49)が丸山忠久九段(50)に勝利、2年ぶりとなるタイトル戦出場を決めた。タイトル通算99期で、大記録の100期にあと1期と迫っている羽生九段は、10月9日から開幕する七番勝負で、豊島将之竜王(30)と対戦する。挑戦権獲得後に記者会見の臨んだ羽生九段は「大きな舞台にふさわしい将棋を指したい」と意気込みを語った。主な質疑応答は以下のとおり。
-第3局振り返って
序盤戦から力戦模様というか、手探りの感じの展開が続いていたので、お互いにかなり漠然としていて、はっきりしない将棋だったという感想です。
-2年前の七番勝負で100期ならず。また竜王戦で挑戦。
タイトル戦の舞台に参加できることがないと、もちろんそういうチャンスがないので、今回挑戦者になれたのは非常によかったなと思っています。まだ終わったばかりなので、気持ちの準備は全くできていないですが、これから開幕までにしっかりと調整して、いいコンディションでスタートを迎えられたらと思います。体調そのものは全く普通で、元気に過ごしています。
-豊島竜王の印象
豊島さんは非常に最新の形にも精通していますし、攻めても受けても非常にミスがないというか、力強さは棋譜で見ているだけでも感じています。七番勝負の舞台で顔を合わせられるのは楽しみに思っています。
-タイトル戦2年ぶり、挑戦できた要因
あまり他の棋戦でも勝ち進んでいないので、今回挑戦できたのは非常に幸運だったなと思っています。チャンスというか、機会を活かせてよかったなと思います。
-七番勝負のポイントは
2日制でもありますし、序盤でリードされると苦しいと思うので、しっかり作戦面でも準備しておくのが大事になるかなと思います。
-50歳として臨むタイトル戦。過去の自分と50歳の自分のイメージの差は。
一応50代になっても、タイトル戦に出られたというのは棋士として名誉なこととは思っています。ただ、それに満足するということではなくて、励みにして前に進んでいけたらいいなと思っています。
-タイトルホルダーは最年長で36歳、一回り下の世代が席巻している。
30代、20代でも強い人はたくさんいますし、同年代でも久保さんが王座戦に挑戦中です。同年代の人も変わらず活躍しているので、世代にこだわらずに目の前の一局に一生懸命やっていくというところです。
-藤井聡太二冠のような新しい人の活躍が刺激に。
刺激というか、本当に二冠ですから、大きな実績を残されている。日々の対局や棋譜を見て、そこで参考にしたり、勉強したりというところです。
-毎年タイトル戦に出ていたのが普通のようだったが、出ていない期間の変化は。
移動が少なくなったので、体調面ではちょっと楽になったというはあります。真剣勝負、大舞台での2日制などがなかったので、そのあたりどうなるのか、やってみないとわからないです。生活は少し、ここ1、2年は変わったかなと思います。
-将棋への向き合い方、準備の変化は。
課題というか考えないといけないことがたくさんありすぎて、あんまりうまく最近の将棋を理解しているかどうかわからないですが、自分なりにちょっとずつそういうところを遅れを取らないようにとは考えています。
-タイトル100期という節目について。
もちろんタイトル戦に出ないことにはどうにもならないことでもありますし、最近はその機会すらなかったので、あまり考えることもなかったのが実感です。ただ、非常に大きな記録がかかるシリーズでもあるので、舞台にふさわしい将棋は指したいなと思います。
-50代のファンからも声援が送られるシリーズになる。
将棋は幅広い年代というか世代でできる競技ではあるので、50代であれば、50代なりの将棋を指していけたらいいなと思います。どういうものになるのかは、これからの課題です。
-九段を名乗ってからの2年間は、違う日々だったか。
なかなかタイトル戦そのものに近づくのも難しかったですし、本当に強い人がたくさんいるので、一局一局を一生懸命やってきたというところです。タイトル戦にすごく出ていた時期は、1年も経ってしまったらだいぶ忘れてしまっていた。目の前の課題に集中していくところでした。
-王将戦のリーグ戦も始まり、藤井二冠と当たる。
王将リーグも来週から開幕で、11月に終わりぐらいには最終戦になる。結構間隔が詰まっているので、そちらでも気力を充実させてやっていかないといけないなと思います。
-七番勝負への意気込み
私にとっても久しぶりのタイトル戦なので、張り切って臨みたいと思います。ファンのみなさんに楽しんでもらえるように力いっぱいやりますので、どうぞよろしくお願いします。
(ABEMA/将棋チャンネルより)