新十両から3年。28歳4カ月での新入幕は学生相撲出身としては史上10位の高齢記録という“苦労人”の翔猿が、これまでのうっ憤を晴らすような快進撃だ。十日目は三役経験者の竜電に対し、頭をつけて右下手を取ると左も深く差して相手の懐に入ると左からの鮮やかな下手投げ。勝ち越しとなる8勝目を早々と挙げた。
白鵬、鶴竜の両横綱が初日から休場の今場所は六日目に全勝が消えるという混戦で1敗力士もすでになく、トップに2敗の大関・貴景勝、関脇・正代、平幕の若隆景と阿武咲、そして“オールドルーキー”の翔猿も堂々と名を連ねる。
新入幕力士が十日目で優勝争いの先頭に並ぶのは2007年秋場所の豪栄道以来。このときは翌十一日目には単独トップに立ったものの終盤は大関、横綱戦などが組まれて3連敗と失速して賜盃を手にすることはなかった。
新入幕優勝となれば1914年夏場所、両國勇次郎が唯一、達成している。美男力士として人気が高かったが、同様に端正な顔立ちをした28歳のイケメンが106年ぶりの大快挙に向けてまい進している。
実兄は元幕内で現在は十両の英乃海。史上11組目の兄弟幕内を達成した。「猿」が入る珍しい四股名は申年生まれ、さらに猿のようにすばしこくトリッキーに動き回る相撲ぶりから新十両を機に改名したが、長い十両生活を卒業して幕内でもいきなり好結果を残しているのは飛んだり跳ねたりの“飛び道具”を封印し、小兵の自身よりも大きな相手を押し込む実力が身についてきたからに他ならない。
今年はすでに2度も平幕優勝が出ているが3度となれば前例がない。稀に見る“団子レース”の優勝争いは俄然、目が離せなくなってきた。
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上”西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・現役女子高生の「リアルすぎる日常」をのぞき見
・スポーツコンテンツに適したの“ライブ特化型広告”って何?