出版物の“総額表示”義務化に不安の声も 赤松健氏「中小出版社と大手出版社の間にある温度差が問題」
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 「#出版物の総額表示義務化に反対します」。今インターネット上ではこのハッシュタグをつけ、「出版業界が立ち行かなくなる」と懸念の声が上がっている。

【映像】出版物の“総額表示”に不安の声

 2004年に行われた消費税法の改正から総額、つまり税込み価格の表示が義務付けられていた。しかし、出版物は長く販売されることから、増税の度に総額が表示されたカバーを印刷し直すと莫大なコストがかかってしまう。そこで「スリップ」と呼ばれる、本にはさまれているしおりに表示することが認められていた。さらに、2013年にはその総額表示が免除となる「特別措置法」も制定されていた。

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 しかし、その免除の効力が来年の3月31日には切れてしまう。そのためネット上では、総額表示が課されることで出版物が絶版に追い込まれるのではないかと心配の声が相次いでいるのだ。

「幼少期から本好きなので反対します」

「紙と労働力の無駄遣いだと思います」

「税率が変わるたびにカバーの掛け替えをするコストをかけられない出版社の本は消えていく。愚策以外の何物でもない」

 これについて、“表現の自由を守る”をスローガンに掲げる自民党の山田太郎参議院議員は自身の公式HPで、「『出版物の総額表示義務化に反対します』との声が多数上がっていることから、消費税の総額表示義務の免除の終了について、9月16日から17日の間、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会に対して、問題点や懸念点等がないかヒアリングを行いました。そうしたところ、それぞれの団体は、現時点では、特段の心配はしていないとのことでした」と報告。

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 一方で、総額表示義務の免除終了によって出版業界に甚大な影響が出た場合の対応策も、山田議員は提案している。「(1)全品目で免除の特例自体を延長する、(2)書籍等についてのみ免除の特例を延長する、(3)総額表示制度自体を廃止する、(4)書籍等についてのみ総額表示義務を廃止する。出版業界だけでなく、日本チェーンストア協会等も総額表示義務を問題視しており、廃止するよう税制改正要望も行っているため、(1)~(4)いずれの対応策をとるにあたっても、全業界に関する問題として議論を行わなければなりません」。

 この点について、『ラブひな』などが代表作の漫画家で日本漫画家協会常務理事の赤松健氏は、「主に不安にかられて騒いでいるのは、我々作家と中小出版社の編集者の方々。大きなムーブメントになっているが、大手の出版社や編集者はみんな黙っている。どうも何年も前からわかっていたことなので、重々承知しており、粛々と対応している感じ。中小出版社と大手出版社との間で相当な温度差があるのが、今回の騒ぎの原因。そこは出版社の間でちゃんと話し合って態度を統一し、それを作家や中小の編集者に報告してほしい」と指摘する。

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 また、問題となっているカバーの刷り直しには、「実際には刷り直しの必要は無かったのだが、『これを機会に絶版にしよう』という判断に至る不安があったので、(総額表示に)つい反対したくなる」とした上で、「そもそも消費税は3%から5%、8%、10%と上がっていったが、それぞれの間に8年、17年、5年とインターバルがあった。そんなに長い間書店に置かれている書籍とは一体何なのか。さらに罰則もないし、総額表示が間に合わない書籍でも撤去の必要はないということで、我々作家が心配し過ぎている感じはある」との見方を示した。

 この話題はTwitterでハッシュタグが作られ盛り上がりを見せていたが、赤松氏は「この件に関しては、『だから消費税は廃止すべきだ』という結論を述べる人もいる。私も消費税率は下げるべきだと思っているが、それとこれとは別問題。この件に限らず、特定の派閥に利用されてしまうことがあるかもしれないので、作家もネットの方々もしっかり裏を取ってからタグを使うべきだと思う。このタグを作った平林さんという方は、山田議員と連絡を取り合って前向きに情報共有と議論をしているとのことなので、うまく収束してくれることを望む」と話した。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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