2019シーズンからチームに加入した渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)は、1年目から個人スコアをしっかりとプラスでまとめ、ムードメーカーとしても非常に大きな役割を果たした。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」ならではの絶大なプレッシャーを感じながらも、チームの紅一点は「ヒーラー」という役割に開眼。愛する渋谷ABEMASの優勝に向けて、新スキルの“回復魔法”で仲間たちのメンタルに癒しをもたらす存在になることを誓った。
-Mリーグ初参戦となった2019シーズンを振り返って。
日向藍子(以下、日向)
表面上はプラスでしたけど、内容的には本当にブレが大きくて、2着でもすごく後悔した半荘もありました。プレッシャーは打っている最中には感じないんですけど、試合の後に響くというか……。内容に納得いかないと1週間とか引きずってしまって、その間にもう次の試合がやってきてしまう(笑)。「本当にすごい舞台だなぁ」というのを味わいましたし、初めての舞台、初めての環境で心への負担も大きかったと思います。
-渋谷ABEMASのムードメーカーとしても活躍。白鳥選手は、「日向がいないと成り立たない」と感謝していた。
日向
本当ですか? 直接言えよって感じですね(笑)。チーム内の話でいうと、私、癒しの回復魔法を唱えられるような存在になりたいんですよ。やっぱり負けて傷ついたり、心が折れかかったりすると麻雀にすごく響くじゃないですか。それを試合の前に少しでも立て直して、仲間の気持ちを回復させる役割を今シーズンは担えたら、と思っています。ちょうど最近「ヒーラー」という言葉を覚えましたし(笑)。
自らメンタル面でのサポート役を買って出るほどチームに惜しみない愛情を注いだ日向だけに、3位という結果には「悔しさしかなかった」という。ファイナルシリーズ終了後は大きな喪失感があったそうで、「結果を飲み込むまでに1カ月以上かかりました。俺たちの夏が終わった……みたいな(笑)」と冗談を交えてそのダメージを振り返った。
-昨シーズンが1年目だったとは思えないほどチームに溶け込んでいる。
日向
ポイントは個人個人の積み重ねかもしれないけど、やっぱりチームには団結力が必要だと思います。だから控え室は明るいほうがいいし、帰ってきた仲間は勝っても負けても暖かく迎え入れたい。それに、今のABEMASが好きなんですよね。あの3人と一緒に、マネージャーや藤田(晋)さんと一緒に、このチームで優勝したいんです。レギュレーションが変わって、2年連続で5位以下だと選手の入れ替えが必要になったじゃないですか。私も抜けたくないし、誰も抜けてほしくない。それが一番大きいかもしれません。
圧倒的な総合力を持つ多井隆晴(RMU)、多才な戦術を使い分けるオールラウンダーの白鳥、何度踏まれても強靭なメンタルで立ち上がる若武者・松本吉弘(協会)と、タイプの異なる男性アタッカー3人が顔を揃える渋谷ABEMAS。本人も「打つだけじゃなくてちょっと欲張りなんですけど」と語るように、日向が選手としてだけでなくロッカールームでも“最適ジョブ”のヒーラーとして機能すれば、悲願の優勝はさらに現実味を帯びていくに違いない。
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。優勝賞金5000万円。




