新たなプラットフォームの覇権をめぐる争い? アップルvsフォートナイトの持つ意味とは
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 人気ゲーム『フォートナイト』を運営する米フォートナイト社と米アップル社のバトルが、法廷闘争にまで発展している。

・【映像】アップルVSフォートナイト ゲームの枠組みを超えた覇権争いにも

 事の発端は、アプリの販売プラットフォームであるアップルやグーグルが開発者に課している30%の手数料を回避するため、『フォートナイト』が新たな課金システムを導入したことだった。すると、アップルはこれを規約違反だとして自社の「AppStore」から『フォートナイト』を削除。この措置に反発したエピックゲームズは、日本でいう「独占禁止法」に違反するとしてアップルを提訴した。

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 しかし米連邦地裁は先月24日に開かれた1度目の審理で「削除されたフォートナイトを直ちに販売再開するのは難しい」、今月28日の2度目の審理でも「英雄視する人もいるようだが、契約に違反することは不正であることに変わりはない」と、エピック側の主張に否定的な見解を示している。本格的な審理は、来年7月以降に陪審員裁判で争われる見通しだ。

 一方、エピックゲームズを中心とする“反アップル連合”も形成されつつある。同社や『Tinder』を運営するマッチグループなど13社は24日、「Coalition for App Fairness(=アプリ公正性のための連合)」を結成している。

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 株式会社KADOKAWAシニアアドバイザーの浜村弘一氏は「手数料率30%と言われると、確かに高いと思われるかもしれない。しかしそれこそ開発したソフトをアップし、どの国で提供するかを選択するだけで配信ができるので、営業力や宣伝力がない小さな開発元にとってはすごくありがたい話だ。だから、これは立場によっても受け止め方が違うと思う。アップルとしては契約の通りに進めているわけだし、結論が来年7月となると、ゲームができない人たちも別のハードを買うなどの対策を取るはずなので、結果的に状況は変わらないのではないか」と話す。

 「アップルは先日“Apple One”というサービスを発表した。音楽を聴き、動画を観て、ゲームもできて、フィットネスもできて、月額いくらで、というものだ。つまり、iPhoneさえあれば生活が便利になるというコンセプトでやっているので、ポリシーに関わるところは、なかなか交渉の余地はないように思う」。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「 エピックゲームズは、かつてアップルがIBMに対抗する意味を込めて作ったCMのパロディを作っているし、報道を見ていても、GAFAの一角をなすアップルという巨大プラットフォームと孤独に戦うエピックゲームズ、みたいなイメージになっている。しかし、話はそんなに単純ではないと思う」と指摘する。

 「そもそも、エピックゲームズという会社自体が非常に巨大だし、フォートナイトというゲーム内の空間を巨大なプラットフォームと捉え、そこにiPhone(AppStore)だけでなく、AndroidやPC、任天堂のゲーム機と、様々なデバイスで入っていくことのできる“クロスプラットフォーム”を売りにしている。そういう意味では、ゲーム対プラットフォームというよりも、ハードウェアのプラットフォームと、文化空間のようなプラットフォームの戦いだということだ。これまで水平的なデバイスを中心としたプラットフォームを構築してきたGAFAに対しては、文化を損なう、競争を阻害するという批判があった。そこにエピックゲームズを中心にSpotifyなどが出てきたということが興味深い。これらコンテンツ企業が中心に主導していくインターネットになるのか、それとも相変わらずGAFA的なプラットフォームが主導していくインターネットになるのか、という岐路に立っているのかもしれない」。

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 佐々木氏の指摘を受け、浜村氏は「おっしゃるように、自らもエピックゲームズストアを作っているので、違う軸での戦い方が始まって来る感じもする。また、本来フォートナイトは銃で撃ち合うゲームだが、パーティーロイヤルモードといって、戦わずにステージ上で色々な表現ができるというモードもある。音楽を聴かせたり、書籍を読ませたりするなど、実はゲームだけのプラットフォームではない」とコメント。テレビ朝日平石直之アナウンサーも「米津玄師さんがバーチャルライブをやるなど、ゲームとは全く異なるコミュニケーションの場にもなっている」と話した。

 アーケードゲームにも詳しい元経産官僚の宇佐美典也氏は「どうぶつの森もそうだが、個人的には“囲い込む系”のゲームが嫌いだ。やはり昔のように、プレステやスーファミといったハードがあって、そこにどんなゲームを作るかという争いがあり、ソフトやメーカーが選ばれていくのがいい。ゲームのコンテンツが独占的な存在に奪われるという危機感を持っている」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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