今年7月、8年半にわたる連載で幕を閉じた漫画『ハイキュー!!』(古舘春一・著)。同作は、ふとしたきっかけでバレーボールに魅せられた少年・日向翔陽を主人公に、「コート上の王様」の異名を持つ天才プレーヤー・影山飛雄との出会いを経て、バレーボールに青春を捧げる高校生たちが描かれている。
アニメも『ハイキュー!!』(第1期)、『ハイキュー!! セカンドシーズン』(第2期)、『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』(第3期)、『ハイキュー!! TO THE TOP』(第4期)と4シーズンにわたって展開。さらに、2020年10月2日からは『ハイキュー!! TO THE TOP』の第2クールがスタートした。
原作漫画の累計発行部数は4000万部を突破し、『週刊少年ジャンプ』連載終了後も反響が相次いでいる同作。「ハイキュー!!」の大ファンだと、今回取材を受けてくれたのは、AKB48グループや坂道シリーズなど、トップアイドルの総合プロデュースを手掛けてきた秋元康氏がプロデュースする女性アイドルグループ「ラストアイドル」の1期生・間島和奏だ。同作のファンの一人として「ハイキュー!!」の魅力を思う存分、語ってもらった。
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―― 本日は『ハイキュー!!』について語っていただこうと思います。
間島:はい。でも連載が終了してしまって、今つらくて……。私はこれから毎週何を糧に生きていけばいいんだろうって思っています。アニメを楽しみにしています。
―― 間島さんが、漫画やアニメにハマったのはいつ頃ですか?
間島:最初、中学1年生の頃に映画『サマーウォーズ』にハマったんです。(メインキャラのひとりである)池沢佳主馬がすごく好きで、そこからアニメや漫画が面白そうだと思って見るようになったんです。『週刊少年ジャンプ』の作品ですと『黒子のバスケ』がちょうどTVアニメで放送されていたので、それも観ていました。
―― 中学生からだったんですね。
間島:小学生のときはAKB48さんがすごく好きだったんです。私が小学校6年生のときに前田敦子さんが卒業して、前田さん推しだったので、その喪失感がすごかったんです。そこで『サマーウォーズ』に出会って、アニメやマンガを見つけてしまった(笑)。
―― 漫画やアニメが心にぽっかり空いた穴を埋めてくれた。
間島:自分でもビックリしました。お父さんとお姉ちゃんが漫画好きだったので、物心がつく前から(オタクとしての)英才教育はされていたと思うのですが(笑)。小学校の頃はアニメ好きな子とも話が合わなかった。でも中学1年生にして「こういうことか!」と分かって。『ハイキュー!!』にハマったのは中学2年生からです。当時はいつも友達と『ハイキュー!!』のことを話していました(笑)。
―― スポーツ漫画が好きなのですか?
間島:漫画はいろいろ幅広く好きなのですが、中でもリアリティがあって、身近に感じられるものが好きです。特に部活がテーマの作品は身近ですよね。私も中学2年生から部活で百人一首をやっていて、競技かるたも畳の上の格闘技と呼ばれているので、スポーツに近いものがあると思っています。
―― でしたら『ハイキュー!!』に出てくる選手の気持ちもリアルに分かりそうです。
間島:でも、私運動音痴なんです。今、ラストアイドルの企画で殺陣をやっているんですけど、全然ついていけなくて。もっと剣をくるくる回せたりするのかなと思っていたんですけど、剣が重過ぎて、練習の翌日は体が痛くて動けないです。
―― 『ハイキュー!!』にハマったきっかけを教えてください。
間島:作品を知ったのは中学2年生の春でした。通学路にある本屋さんの新刊コミックのところに、月島蛍くんが表紙の『ハイキュー!!』10巻が飾ってあって。それを見た瞬間に「絶対好きだ!」と思って買いました(笑)。ただ、それは読まずに置いておいて、そのあとに1~9巻まで全部揃えたんです。お母さんに「買わせてください」とお願いしました。
―― 中学生だとお金もそれほどないですからね。
間島:でも、誕生日が近かったので偶然買ってもらえたんです。そしたらお母さんも見事に『ハイキュー!!』にハマって(笑)。『ハイキュー!!』で初めて漫画を“表紙買い”したんです。もうこれは運命の出会いだなと思って。
―― 一目惚れみたいなものですね。実際読んでみていかがでしたか?
間島:1巻から読んでいったらすごく面白くて。しかも、練習と試合のバランスがちょうどよくて、自分がやっている部活とも重なって、心に刺さるセリフがすごく多かったです。
―― 自分の生活に影響を与えるような言葉がたくさんあった。
間島:だから今もつらいときは『ハイキュー!!』の言葉を思い出しています。殺陣ができなくて悩んでいたときも、日向が烏養前監督に「できるだけボールに慣れるために常に触ってろ」と言われるシーン(※『ハイキュー!! セカンドシーズン』第6話『“テンポ”』)を思い出して、私もずっと剣を触って、剣と友だちになろうと思って。だから今もつらいことがあったら『ハイキュー!!』を読むんです。
―― 好きなキャラクターは、10巻で一目惚れした月島蛍のままだったんですね。
間島:最初は推しのキャラクターを決めず、フラットに読み始めたんです。でも、青葉城西との練習試合で、月島くんが「ほらぁ『エリートの方々』がびっくりしちゃって 可哀想じゃないですかあ」というセリフを読んだ瞬間に『あっ、好きだ』と思っちゃったんです(笑)。そこからはもう観念して、(月島蛍を)イチ推しと決めて読んでいます。
(※補足『ハイキュー!!』第6話『面白いチーム』/青葉城西の選手にバカにされ、威嚇した2年生の田中龍之介に加勢して、月島が相手に言い放ったセリフ)
―― 具体的には、月島のどんなところが好きなんでしょうか?
間島:“好きじゃないところ”がないんですよ。でも、もともとメガネのキャラクターが好きというのはあります(笑)。ただ、よくいるメガネキャラのタイプと違って、月島くんにはお兄さんがいて、ブラコンをこじらせつつ負けず嫌いなんです。そのブラコンと負けず嫌いのバランスが、自分の中で初めて見る感じだったんですよね。
ちゃんとバレーが好きで、負けず嫌いであることは最初の試合から分かったし、でもお兄ちゃんとのこともあって、自分から熱く(バレーが好きなことを)言えない感じも心に刺さって共感するんです。私も、アイドルを目指していたときに(周りと比較して)惨めに思うことが多くて、そのことを周りの友達には言わないでいた。でも本気だったから、そういうところも自己投影してしまって、好きなんです。
―― 好きなエピソードもそのシーンになりますか?
間島:コミックスだと88話ですね(※)。強豪との合同合宿中にマイペースを貫き、がんばっても一番になれないのに、何を原動力に動けばいいのか分からないと言う月島くんに、(親友の)山口忠くんが「プライド以外に何が要るんだ!!!」と叫ぶシーンは、好きなシーンというより、もう「(『ハイキュー!!』は)人生の代表作!」だと思っています。
(※補足 コミックス88話/アニメ『ハイキュー!セカンドシーズン』第8話『幻覚ヒーロー』……月島蛍は子供の頃、憧れだった兄・月島明光が烏野高校でレギュラーになれなかったことを嘘をついて隠していたことを知り関係がギクシャクしてしまう。それから月島蛍は上には上がいる、がんばっても絶対に1番にはなれないし、いつかは必ず負ける、と思うようになってしまう)
【映像】名シーン! 山口忠が放った「プライド以外に何が要るんだ!!!」※12分ごろ~
間島:私もラストアイドルの暫定メンバーからバトルで負けて「セカンドユニットに入るか入らないか」と言われた経験があるんです。そのときは「もう辞めてしまおう」と思ったんです。でも、小学6年生から秋元康さんのグループのオーディションを受け続けてきて、自分にもプライドがあったんです。そのプライドだけで高校2年生までがんばっていて。
当時「アイドルは本当の夢」と思いながら、この88話を読んで、背中を押されて、セカンドユニットに残りました。結果的に今アイドルとして活動ができているので、私は人生のすべての瞬間において『ハイキュー!!』に支えられているなと思います。
―― 『ハイキュー!!』がなければ、間島さんはアイドルにならなかったかもしれない。
間島:本当にそうだと思います。そういう意味でも、山口くんが月島くんに「プライド以外に何が要るんだ!」と叫ぶシーンは思い入れが強いです。
(写真:オカダマコト)
▶︎インタビュー後編は近日公開!
(C)古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS
(C)古舘春一/集英社・「ハイキュー!! セカンドシーズン」製作委員会・MBS