天才の辞書に「緊張」の二文字はない。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」10月8日の第1試合で、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)が高打点のアガリを連発してチーム一番乗りとなるトップを獲得。シーズン初戦の固さをまったく感じさせないマイペースぶりを存分に発揮し、試合後には笑顔で「楽しかったです」と対局を振り返るほどの余裕を見せた。
この試合の対局者は、起家から茅森、EX風林火山・滝沢和典(連盟)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)、赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)。セガサミーフェニックスとKONAMI麻雀格闘倶楽部とっては今シーズンの初勝利がかかる一戦となった。
緊張とは無縁のクールな性格と非凡な麻雀センスで、しばしば「天才」と称される茅森。ハイレベルな危機察知能力に加えて、2018シーズンには平均打点で全選手中1位を獲得するなど、ここぞという場面での手作りの巧みさにも定評がある。自身にとってのシーズン初戦というシチュエーションにも特別な意識はなく、ひょうひょうとした自然体で対局に臨んだ。
序盤は茅森と滝沢のアガリ合戦の様相を呈した第1試合。滝沢が東1局と東3局にそれぞれ8000点のアガリを決めてリードする中、茅森も東2局のリーチ・ツモ・ドラの4000点、東4局のリーチ・一発・ツモ・発・赤の8000点でピッタリと追走していく。特に東3局は1枚目の発をスルーしてリーチで仕上げたもので、「手が入っていたので、鳴かないほうがいいかなと。メンゼンで行こうと思っていました」と打点への嗅覚が如実に表れたアガリとなった。
大勢が決したのは南1局の茅森の親番だった。前原から1・4索待ちの先制リーチが入るものの、茅森も負けじと押し返して4・7索の追っかけリーチにこぎつける。ここで前原からリーチ・タンヤオ・赤・裏ドラの1万2000点(供託1000点)を直撃してトップ目に立つと、続く1本場では絶好の3面張をツモで仕上げてリーチ・ツモ・タンヤオ・平和・赤・裏ドラの18000点(+300点)でなかば勝負あり。4000点、8000点、1万2000点、1万8000点と右肩上がりに火力がアップするという“打点王”ぶりを発揮し、目下のライバルだった滝沢を一気に引き離した。
勝利者インタビューでは「緊張はしていませんでした。楽しかったです」とサラリと言ってのけた茅森。試合前には控え室に差し入れられたうなぎ弁当を堪能したようで、カメラ目線で「うなぎ効果!」とガッツポーズを決めるなど終始ご機嫌な様子だった。
ニコニコぶりが際立つインタビューを受けて、ファンからは茅森の口元を表現した「ω」マークのコメントが殺到。とはいえチームがあと一歩のところで優勝を逃した悔しさを茅森は忘れておらず、新シーズンの意気込みを問われると「私は昨シーズン良くなかったので、今期はプラスにしてチームに貢献したいと思います」と引き締まった表情で語った。プレッシャーをものともしない天才女流雀士の活躍と正比例する「ω」コメントの量が増えれば増えるほど、セガサミーフェニックスは悲願の初優勝へと近づいていく。
【第1試合結果】
1着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)5万2000点/+72.0
2着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)3万2400点/+12.4
3着 赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)2万6400点/▲13.6
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)-1万800点/▲70.8
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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