もうスロースターターとは言わせない。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」10月8日の第2試合で、“魔王”の愛称で知られるKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)が大逆転勝利を飾った。過去2シーズンはいずれも序盤で躓き、その度に地獄の底から這い上がるかのような麻雀を見せてきた佐々木ながら、3年目は自身の開幕初戦でさっそく好結果を叩き出した。
この試合の対局者は、起家から赤坂ドリブンズ・丸山奏子(最高位戦)、佐々木、EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)、セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)。3試合を終えていまだトップのないKONAMI麻雀格闘倶楽部にとっては、エースの佐々木を起用して是が非でもトップを持ち帰りたい一戦だ。
しかしながら、佐々木の立ち上がりは東1局2本場での魚谷への8000点(+600点、供託3000点)、さらに東2局での二階堂への8000点の連続放銃という非常に苦しいものになってしまう。チームメイトの前原雄大(連盟)から「10月は投げるな。10月以降で40連投しろ」と冗談を飛ばされるなど、なぜかMリーグの開幕直後はエンジンがかからない佐々木。最終的には復調してプラスに転じているものの、過去2シーズンはいずれも初勝利まで8試合を要しており、二階堂への放銃後には視聴者から「やはり今年も寿人は終盤勝負か」「寿人は8戦目まで遊ぶからな」といったコメントが寄せられるほどだった。
南2局1本場の親番まで女性選手3人のラッシュに圧倒され、佐々木は持ち点を4900点にまで減らしていた。しかし開幕前に「500ポイント&MVP」という野望を掲げた“魔王”は、ここから溜め込んだ“魔力”を解放する。魚谷の先制リーチにひるむことなく猛然と追っかけリーチをかけると、怒涛の勢いで一発ツモアガリ。リーチ・一発・ツモ・赤2の1万2000点(+300点、供託2000点)で、上位争いに手が届く持ち点まで復帰した。
さらに続く南2局2本場、佐々木は再び代名詞のリーチで場を制圧し、リーチ・ツモ・平和・ドラの7800点(+600点)をアガって2着目に浮上。大きく離されたラス目からたった2局で、誰が勝ってもおかしくない大混戦に持ち込んだ。
二階堂による1万2000点(+900点)のツモアガリを親かぶりして一時後退するも、佐々木は南3局にふたたび3900点を加点し、試合は僅差のままオーラスに突入。南4局の1本場、ツモもしくは裏ドラ1枚で逆転トップの局面で、佐々木は迷うことなくカンチャンの2筒待ち即リーチを敢行した。これをわずか2巡で成就させ、リーチ・ツモ・赤の4000点(+300点)。鮮やかすぎる逆転劇に“熱血実況”で知られる日吉辰哉(連盟)は「ツモったー!まさか!トップですよ!」と絶叫し、視聴者コメント欄には「寿人すげえええええ」「魔王強すぎわろた」「カッコよすぎて泣けてきた」「魔王降臨」「鳥肌立ったわ」といった感嘆の声が並んだ。
トップを目指して懸命に前に出ようとする二階堂、魚谷、丸山の攻撃を、いずれも同試合で最多となるリーチ5回、アガリ4回、放銃2回という“超攻撃”で粉砕した佐々木。会心の逆転によるチーム初勝利に、「諦めなきゃなにが起こるかわからない。最初の方は『2ラスで帰れねえぞ』と思いましたけどね(笑)」と試合後のインタビューでも喜びを隠さなかった。
これまでとは異なり、沈んだのは開幕初戦の東場のみ。KONAMI麻雀格闘倶楽部の絶対的エースが課題のスタートダッシュを克服したとなれば、目標のチーム優勝やMVPも現実味を帯びてくる。スロースターターを返上した3年目の“魔王”の進撃の成否が、2020シーズンのMリーグにおける大きな見どころになりそうだ。
【第2試合結果】
1着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)3万500点/+50.5
2着 EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)2万9800点/+9.8
3着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)2万4900点/▲15.1
4着 赤坂ドリブンズ・丸山奏子(最高位戦)1万4800点/▲45.2
【10月8日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 +100.1(4/90)
2位 赤坂ドリブンズ +83.8(4/90)
3位 セガサミーフェニックス +30.5(4/90)
4位 KADOKAWAサクラナイツ +14.6(2/90)
5位 渋谷ABEMAS ▲17.6(2/90)
6位 TEAM雷電 ▲56.3(2/90)
7位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲56.5(4/90)
8位 U-NEXT Pirates ▲98.6(2/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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