西アフリカ新婚旅行中、コロナ禍で帰れなくなった夫婦が“五輪大使”に 若新雄純氏「人生を変えるのは努力ではなく工夫」
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 底が見えるほど透き通ったエメラルドグリーンの海。そして、あたり一面に広がる真っ白な砂浜。ここはアフリカ大陸の西に位置する島国・カーボベルデ共和国。人口54万人ほどで、合言葉は「ノーストレス」と、まさに楽園そのもの。

 日本人にはあまり知られていないカーボベルデだが、いまこの国から出られなくなった1組の日本人夫婦がいる。片岡力也さん(29)、あゆみさん(30)夫妻だ。2人は昨年の12月からハネムーンとして「世界一周旅行」をスタートし、今年2月に「カーボベルデ」に到着。2週間ほど滞在して、スペインに向かおうとした矢先の出来事だった。

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「コロナウイルスが一気にヨーロッパで蔓延してしまって。ヨーロッパで空港が閉鎖して、EUの空港がすべて閉鎖になってしまい、脱出できなくなってしまった」(以下、片岡力也さん)

 悩んだ末、「カーボベルデに残る」という決断をした片岡夫妻。しかし、入国時に取ったビザは短期滞在用。カーボベルデには、1カ月しかいられない。

「どうやったらビジネスビザが取れるかなと思ったときに、まずはこの国に還元することが必要だなと思った。観光客に向けた動画など、この国の実利につながるような動画を作成するのが一番の近道だろうなと」

【映像】真っ白な砂浜と青い海…カーボベルデの美しすぎる絶景

 片岡さんは、労働ビザ取得のため、色彩豊かな島の特徴をドローンなどで撮影し、観光PR動画を作成。現地メディアに「紹介してほしい」とメールを送ったところ、思わぬビッグチャンスが訪れた。

「現地のニュースメディアが僕たちに興味を持ってくれて、記事を公開してくれた後、すぐにカーボベルデのオリンピック委員会の人がその記事を見つけてくれた。『すごく面白いからお話したい』ということで、お話していくうちに『カーボベルデのアンバサダーになってくれないか』というお話になりました。一生経験できないような貴重な経験ができると思ったので、本当にうれしくて。即答で『やらせてください』と言いました」

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 カーボベルデで来年の東京オリンピックの親善大使という大役を担うことになった片岡夫妻。さらに、首相からは感謝状まで届き、2人の挑戦は身を結ぶ結果になった。まだ労働ビザは取得できていないものの、コロナ禍の特例で長期滞在も認められたという。

「東京オリンピックまでに日本に帰ると決めていますが、それ以外は何にも決めてなくて。決めることによって自分たちのできることの範囲が狭まってしまうというのが一番怖い。唯一、柔軟に過ごしていくことだけ決めています」

 ニュース番組「ABEMAヒルズ」では、片岡力也さんと中継をつなぎ、現状をインタビュー。動画クリエイターとして活動している片岡さんは、現地でいろいろなホテルから「うちの動画も作って欲しい」と頼まれているという。

「僕は今、サンタマリアという場所の五つ星ホテルにいて。無料で泊めさせてあげるから『うちのホテルの動画を作って』と頼まれたんです。今いるホテルは、1泊およそ500ユーロで、日本円にすると約6万円ですね。ビジネスビザではないので、お金をもらうことは違反。動画を作る代わりに無料で泊まらせてくれる」

 カーボベルデ共和国は、アフリカ大陸の西に位置し、面積は約4033平方キロメートル(日本の滋賀県程度)。人口は54.4万人(2018年)で、ポルトガル語を公用語としている。主要産業は、バナナ・サトウキビなどの農業、マグロ・ロブスターなどの漁業だ。人的・経済的交流は小さいものの(在日カーボベルデ共和国人は12人)、日本人との関係は概ね良好で、1960年代ごろには日本のマグロ漁船が多数帰港し、船員達との親しい交流が育まれていた。

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 カーボベルデの生活について、片岡さんは「最高に楽しい。みんな1日1回は『ノーストレス』と言います。沖縄の『なんくるないさ』と一緒ですよね。朝、カーテンを開けると、目の前の海の美しさに感動します。今まで見てきた海の中で、ナンバーワンじゃないかってくらい綺麗。主食は米ですが、たまに日本食が恋しくなって『納豆とおしんこが食べたいな』と思うことはありますが、ご飯もおいしいですし、8カ月いても飽きません」と話す。

 今ではカーボベルデの大統領からも動画の依頼を受けるようになった片岡さん。このニュースに慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「新型コロナが広まってどうしようもないとき、どうやって頑張るか、我慢してどう乗り越えるかという話になりがち。人が人生を変えるとき、何かを我慢する努力よりも、新しいことを工夫してみることが大事だと思う。(片岡さんは)工夫で人生の次のステップを勝ち取った事例」とコメント。

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「学校の教育で『工夫しよう』と言われてきた人は少ない。『努力しよう』はよく言われるが、片岡さんは我慢や努力ではなく『視点を変えてみよう』と、この環境でも楽しめるポジティブな面があって上手に工夫ができている」(若新雄純氏)

 若新氏の解説を受けて、片岡さんは「与えられた環境を楽しむ工夫」について、こう述べる。

「環境を変えられることはできない。与えられた環境で、いかに楽しむか、活用できるかを考えた。新婚旅行で世界一周中に身動きが取れなくなったことは、普通に考えたらアンハッピーだと思われるかもしれない。でも、かなりユニークな経験で、僕たちのストーリーを発信したことで、取材のお話もいただけた。僕らのいる島は、まだ新型コロナの感染者も少なくて、東京より安全じゃないかと思った。何もネガティブなことがない」

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

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