アメリカの動画サイトYouTubeは15日、トランプ大統領が悪魔崇拝者から地球を守るなどと陰謀論を唱える「Qアノン」への対策を強化すると発表した。
YouTubeはこれまでも、数万ものQアノン関連の動画などを削除してきたが、更なる対応強化に踏み切った。Qアノンは「トランプ大統領は悪魔崇拝と幼児虐待に関与する民主党の政治家やエリートたちと戦っている」などと主張し、インターネット上で広がりをみせている。
Facebookも6日、交流サイトからQアノンに関連するアカウントや投稿を削除する方針を打ち出しており、大統領選挙を目前に控え、ソーシャルメディアによる規制強化の動きが相次いでいる。
こうした動きについて、『WIRED』日本版編集長の松島倫明氏は「Qアノンはアメリカだけでなくヨーロッパや日本にも広がっているようで、WIREDでちょうど今週に記事を出したところ、Twitterで反論があった。アメリカだと7%の人がQアノンに一定の賛意を抱いているが、その実態はあまりわかっていなく、陰謀論を信じる人の中でもバイデンに投票すると言っている人もいる。“フラットアース説”という地球が平面であると信じる人たちがSNSを通じて広がったりもしていて、ある種確立された権威や真実を疑ってかかるようなことが、SNSに乗って急速に拡大している現象が度々起こっている。情報の接種が偏ってきている」と指摘する。
情報の接種の偏りについて、WIREDでは『陰謀論者や地球温暖化否定者のYouTubeレコメンデーションには、何が表示される?』という記事を掲載している。利用者の視聴履歴や検索ワードから“見たいであろう(おすすめ)映像”を提案し異なる情報を遠ざける「フィルターバブル現象」について、陰謀論者や地球温暖化否定者などが見た動画を再生できるなど追体験ができる「TheirTube」というプロジェクトを紹介。“おすすめの映像”の特異性に気づくきっかけを与えるだろうと提案している。
松島氏は「フィルターバブルはもう10年ほど言われているが、一国の選挙を左右するほどのものになっている。今世界では毎日20億人がYouTubeを見ていると言われていて、その7割は自分が選んだものではなくレコメンデーションされたものだ。そうすると、Qアノンや悪魔崇拝を見ている人は同じようなものがどんどんレコメンドされる。ソーシャルプラットフォームは、彼らが何を見て何を学ぶかということよりも、そこで見続けてくれることを狙って設計されているので、物事の見方がその人の中で固まっていき極端な方向に走るということがあらゆる場面で起こっている。『TheirTube』は、自分と間逆の意見を持っている人のレコメンドを見ることによって、異なる情報を接種している人たちがいることを知れるし、自分自身が正しいと思っていることを相対的に見ることができるということで、今こういった機会に触れることが大事だと思って取り上げた」と話した。
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