場内に響いた鈍い音とともに敗者の巨体が前のめりになってリングに沈んだ。重量級ならではのド迫力シーンに、実況が「たった一発だ!」と思わず絶叫。会場とネットが騒然となるKO劇が繰り広げられた。
10月17日に後楽園ホールで開催された「Krush.118」。この日Krushデビューとなったサッタリ・ウィラサクレック(イラン)が、谷川聖哉を2ラウンド、豪快な右フック一撃でマットに沈めた。谷川の180センチの大きな身体が前のめりに崩れ落ちる衝撃のダウンシーンに会場は一時騒然。ネット上でも「重量級にはこれがあるんだよな」「これが見たかった」「1発の威力が違う」「重量級こええ」など、驚きと興奮の声が相次いだ。
初参戦となったイラン出身のサッタリはアマチュアムエタイ王者からプロへ転向した注目選手。対する谷川は重量級の空手、キックなどでの実績から今年K-1デビューを果たすも、一つのドローに加え、8月の大会を負傷欠場した“悪い流れ”を断ち切りたいところだ。
試合は序盤から同じイラン出身の豪腕「シナ・カリミアンよりも強い」と定評のあるサッタリがスピードとパワーのあるパンチを連打。化け物の片鱗ぶりを見せつける。対する谷川は距離を取りながら慎重さを見せつつ、前蹴りやローなど蹴り主体の攻撃で応戦する。サッタリの強烈なパンチを下がりながら慎重にかわす動きからは「一発貰ったら終わり」という緊張感が漂う。
1ラウンドは相手の勢いに飲まれた感があった谷川だが、2ラウンドに入ると、サッタリのパンチをかわしながら、接近戦で勝負に出る。しかし、サッタリは狭い距離でもコンパクトに対応。的確なミドルを放つなど、パワー一辺倒ではない器用さもみせる。
それでも谷川も果敢だった。近い距離でサッタリと刺し違えるような打撃戦を挑むと、ジワジワと前に出つつパンチをギリギリでかい潜るリスキーな真っ向勝負を展開。この気迫に、サッタリがやや失速し、下がりはじめる場面も。
しかし、そこに落とし穴があった。勢いに乗った谷川が左の前蹴りを蹴り上げた次の瞬間、サッタリがカウンターで強烈な右フックを撃ち抜いた。「ボコッ」という鈍い音とともに、谷川はリングに前のめりになって崩れ落ちた。
この衝撃KO決着にABEMAで実況を務めた市川勝也アナが「ダメだダメだ、続けられない! たった一発だ! 重量級はこれがあるから面白い」と絶叫すると、その言葉に呼応するかのように視聴者からも「バッタリ倒れたーー!」「重量級にはこれがあるんだよな」「これが見たかった」「1発の威力が違う」「重量級こええ」との声が相次いだ。一方、「今の大丈夫か?」など、前のめりにリングに沈んだ谷川を心配する声も多く聞かれたが、自らの足で立ち上がった谷川を確認すると「無事でよかった」と安堵の声も寄せられた。
試合後マイクをとったサッタリは流暢な日本語で「みなさんありがとうございました」と挨拶すると、英語でチームやジムの会長に感謝のコメント、さらにベルトへの意欲を口にした。