11月3日のアメリカ大統領選挙まであと2週間。劣勢が伝えられているトランプ大統領がバイデン氏に対して批判を強める中、選挙をめぐって別の事件も起きている。
アメリカ大統領選を前に、劣勢に立たされているトランプ大統領。焦りからか、バイデン氏への批判もヒートアップ。小さな“言い間違い”も攻撃の対象になっている。
「バイデンは正常ではない。もう終わっている」
「バイデン氏は2日前『上院議員選挙に出馬する』と言い間違えた。『オハイオの皆さん ご一緒できて光栄です』と(バイデン氏が)言ったら、『ここはアリゾナ州だ』と言われていた。これを8回やらかしている」
「(バイデン氏は)史上最悪の候補」
「不正まみれ。頭もよくない。落ちぶれている」
トランプ氏が“口撃”を強める中、18日にはカリフォルニア州で大統領選の公式投票箱が放火される事件が起きた。最大100人分の投票用紙が燃えたとされ、カリフォルニア州では、共和党が独自に非公式の投票箱を設置するなど、投票をめぐる混乱が続いている。
【映像】燃えている大統領選の投票箱 カリフォルニア州(1分20秒ごろ~)
火種がくすぶる今回の大統領選。批判を強めるトランプ氏の一方、一部の調査ではバイデン氏がトランプ氏に8.9ポイントリードしているという結果が出た。
ニュース番組「ABEMAヒルズ」のコメンテーター、ニューズウィーク日本版編集長の長岡義博氏はトランプ氏の現在の支持率について「(バイデン氏と)大きく開いている」と指摘。「これまでの選挙取材の経験で言うと、10ポイント近く離れていることはマラソンでいうと100メートル近く離されている感覚に近い。ここから逆転するのは相当大変なのでは」と語る。その上でトランプ氏の“勝利シナリオ”として、3つ展開が考えられるという。
「1つ目は前回の大統領選挙で実際に起きた現象で、隠れトランプ支持者が投票日に大量に現れる可能性。前回は世論調査でトランプ氏を支持していると答えない人がトランプ氏に投票し、ヒラリー・クリントン氏に大逆転した。しかし前回は接戦で、“隠れトランプ支持者”が状況をひっくり返す鍵になったが、今回ここまで離れていると仮に“隠れトランプ支持者”がいたとしても、どれだけ結果に影響するのか」
第2に、たとえトランプ氏が負けたとしても“敗北宣言”をしない可能性も考えられるという。
「トランプ氏は『自分が負けたら結果を受け入れるか』と聞かれても、言葉を濁し続けている。実はアメリカ大統領選では勝利宣言よりも敗北宣言の方が大事。どちらかが敗北宣言して初めて、結果が確定する。(負けたとしても)トランプ氏が敗北宣言をしない可能性もある。しかし、大きな差が開いたとき、大統領が選挙結果を認めないことをアメリカ社会および国際社会が受け入れるかどうか。前回の討論会でも、トランプ氏が白人至上主義者に『下がって待機しろ』と呼びかけて物議を醸した。(トランプ氏が負けて)白人至上主義者が武器を持って暴動を起こす可能性もあるが、現実にはより大きな武力を持つ警察や軍もいるから鎮圧されるだろう」
第3のシナリオとして、郵便投票の不正を疑っているトランプ氏が「実際に不正捜査を命じる可能性もある」と長岡氏は示唆する。
「郵便投票にトランプ氏は難癖をつけ続けている。その場合のシナリオはこうだ。開票時にトランプ氏が郵便投票の不正を訴え、司法省に激戦州の不正捜査を命じる。大統領選は11月3日だが、次に大切なのは12月14日。アメリカ大統領選は直接投票ではなく、大統領に投票する選挙人を選ぶ選挙。選挙人が投票するのが12月14日で、この日までに捜査が終わらないと、激戦州は票が確定しない。確定しないと激戦州の投票人が投票に参加できない状況になり、トランプ氏、バイデン氏共に選挙人の選挙で過半数を確定できない状況になる」
選挙人選挙で大統領が決まらないとき、アメリカでは憲法修正第12条の規定により、連邦下院の投票に委ねられる。
「下院の現状は民主党有利だが、憲法修正12条の規定ではこの場合一人一票ではなく、州ごとの投票になる(各州1票制)。共和党過半数の州が26、民主党過半数の州が23。同数のペンシルベニア州がバイデン氏に投票しても26対24で、トランプ氏が逆転する可能性もある。そしてこれは合法なので誰も文句がつけられない」
トランプ氏の勝利確率について「現状から逆転するのはなかなか難しい」とした上で「30%」と述べた長岡氏。日本時間の10月23日には投票前の最後の討論会が行われる。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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