人類が生きる上で、大きな壁となって立ちはだかる難病やがん。そして、今年は新型コロナウイルスとの戦いが続くなど、人体と病気を巡る研究に終わりは見えない。
そんな医学の世界で驚愕の発表があった。それが、「未知の臓器の発見」。発表したのはオランダの研究チームで、これまで知られていなかった臓器が見つかったという。『ABEMAヒルズ』は、快挙を達成したチームの1人、オランダがん研究所のウーテル・フォーゲル医師に直接話を聞くことができた。
「我々は調査で、唾液腺をPSMA PET/CTという新しい先端の機器でスキャンしていたんだ。この機器は唾液腺をこれまでにないほどしっかり見せてくれた。これまで知られていたすべての唾液腺が見えて、さらに今回の新しい臓器も見つけることができた。未知の発見となったんだ」(ウーテル・フォーゲル医師)
新たな臓器が見つかったのは、鼻腔と咽頭がつながる部分の頭蓋骨の中。発見のポイントとなったのが、近年がんの画像診断で使われるようになったPSMA PET/CTというスキャン検査だった。
研究チームは、前立腺がんを治療中の患者100人の頭から首にかけて調べ、さらに男女1人ずつの遺体解剖も行った結果、全員がこの臓器を対で持っていることがわかったのだ。
「はじめ、周りは『嘘だろ?』『信じられない』『どうやって新しい臓器を見つけたんだ』と言ったね。だけど、みんな臓器を持っていて、その証拠を顕微鏡で見せたら納得した。さらに、放射線治療でその臓器がある場所をあてると、臓器はダメージを受け苦しむ。がん患者には大切な発見だ。人間の身体で新しい臓器が見つかるなんて思ってもみなかった。それを我々はやったんだ」(同)
研究チームは、この臓器は唾液の分泌に関連しているとみており、放射線治療で臓器が傷つくことで、患者の食事や会話などに影響を与えてきた可能性を指摘している。今回、新たな臓器の存在が明らかになったことで、これまで患者が抱えていた苦しみを取り除けるかもしれないという。
「まずはこの臓器を確認し、さらに調査をしてきたい。そして、治療法を変えていきたいんだ。今の治療も良いとは証明されているけれど、患者の負担を減らしたい。だけど、これは数年かかるだろうね。それが証明できれば、すべての患者の治療法が変えられると思う」(同)
新しい臓器の発見。遺伝子解析ベンチャービジネスを展開するジーンクエスト代表取締役の高橋祥子氏は、“定義”によってこれからも新しい臓器が発見される可能性はあるとの見方を示す。
「今回、唾液腺の一部だと思われていたものが、実は違う機能だったということで新しい臓器とされている。2年ほど前にも、臓器の間にある人体の中で一番大きい『間質』という組織も、新しい臓器と認めるべきじゃないかということが話題になった。このように臓器をどう定義するかによって、新しいものが見つかる可能性もあると思っている」
また、人の身体は未知な部分がまだまだ多いと、今後の解明に期待を寄せる。
「例えば、人はなぜ老化するのか、なぜ睡眠をとるのかなども実はまだよくわかっていない。そういうところが解明されていくと、もっと人の生活の役に立ったり、治療方針に影響を与えたりといったところが期待できると思う」
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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