人当たりのいい好青年として人気で、解説やイベントにもよく登場する将棋の高見泰地七段(27)。棋士の仲間も多く、その人柄はファンにも伝わっている。ところが、いざ将棋となると棋士からは「ちょっと恨みを買いそうな勝ち方をする」とも言われるところが興味深い。10月21日、中継番組で解説していた高見七段は、同じく解説の井出隼平四段(29)と笑顔で語り合いながら「こいつだけは絶対に許さない」と衝撃の言葉を浴びせられた過去を明かした。
居飛車党の高見七段は、叡王のタイトル経験もある実力者。21日は、藤井聡太二冠(18)と村山慈明七段(36)の対局を見守っていた。「人の将棋で踏み込みがよくなるのが『解説あるある』。それが今日もいかんなく発揮されています」と笑顔で自己評価をすると、すかさず井出四段から「自分の将棋でも結構踏み込んでるじゃないですか」と突っ込まれた。
井出四段による“高見評”はまだ続く。「踏み込んだと思ったら、そこから粘り始める。緩急自在で、そこがうまいんです。相手も踏み込まれると覚悟しているところに、きゅっと緩めるから相手は急に目が見えなくなって、(相手の)悪手を引き出す。高見将棋はそれが怖い」と、息継ぎなしに語った。
これに高見七段が「悪い人みたいじゃないですか」と苦笑いしたが、井出四段は逃さない。「ちょっとそう思っています。ちょっと悪い人だと(笑)高見さんの勝ち方は、ちょっと負ける側が傷つく。『自分がいい手を指せなかった…』みたいな。対局を見ても、自分が体験してもそう思いました」と続けた。
ここまで来ると、いよいよ高見七段も認めざるを得ない。「カメラの前で言わないでくださいよ(笑)」としたものの、いよいよ“自供”し始めた。「今でも印象に残っているのが、親しくしてもらっている元奨励会の方に、奨励会で勝った時に『こいつだけは絶対に許さない』って言われた」と明かすと、すかさず井出四段は「そう!高見さんは、ちょっと恨みを買いそうな勝ち方をする」と笑った。
もちろん高見七段がルール上、何か問題があるわけでもなく、勝利に向けてのアプローチは棋士の数だけあるもの。ただ、スパッと斬られて「負けました」というよりも、何か見えない術にはまったように感じる方が、ダメージが深いのだろう。
逆転勝ちではなく、安定感のある勝ち方を目指したいという高見七段に、井出四段が「羽生(善治)先生だって、『羽生マジック』って最後の方で妖術みたいなの使うじゃないですか」と伝えたが、高見七段は「自分はマジック、魔法じゃなくて黒魔術みたい」とコメント。すると井出四段は「黒魔術だって魔術は魔術ですよ。悔しいんですよ、負けた側から『マジック』っていうのは」と、敗者の気持ちの代弁もしていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)